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3月6日のまにら新聞から

人権と民主主義の危機 上院の「反テロ法」改正法案

[ 781字|2020.3.6|社会|新聞論調 ]

 法律とは普遍的な善、あるいは公益を実現するという崇高な目的のためにあるべきだが、必ずしもそうではないのが現実だ。歴史を振り返れば、法が特定の個人や民族、人種、宗教、性などを抑圧するために乱用された例は枚挙にいとまがない。こうした抑圧は、独裁など権力の集中や脆弱(ぜいじゃく)な政治・社会構造がみられる場合により多くなる。残念ながら現在の比はまさにこの状態だ。

 最近、上院で「人間の安全保障法」(2007年)を廃止し、反テロリズム法改正案(2020年)にすり替える法案が通過した。反対議員は2人のみだった。さらに同様の法案の通過が続きそうだ。もし、これらの法案がそのまま成立すれば「“反”人間の安全保障法」として悲惨な状況を引き起こすだろう。全国民衆弁護士組合(NUPL)は、このいわゆる「反テロリズム法」は、政府に異を唱える者を抑圧する最も強力な武器になるとしているが、そのとおりだ。これは「国家の敵」とレッテルを貼られた市民団体や運動家、メディア関係者を取り締る法的枠組にほかならない。

 NUPLによれば、同法案では軍などによる令状なしの逮捕や14日間までの拘留が認められる。現行の勾留は最大3日間だ。現行法が定める釈放者への金銭補償、法の乱用への罰則なども廃止される。テロの定義があいまいなため条項の乱用も懸念されるが、具体的なテロ行為だけでなく、言論さえもテロの扇動として12年の拘留の対象になりうるのだ。法で保障されていたはずの言論や表現の自由、平和的な集会の自由もおびやかされる。さらに、この法案の最も危険な点は、政府が特定の組織を、事前告知も組織への聴き取りもなしに、直ちにテロ組織に指定できる点だ。

 この新しい法案は、テロとの闘いに効果はなく、むしろ人権と民主主義、安全を葬り去るものである。(3日・スタンダード、トニー・ラビーニャ)

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