「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
34度-25度
両替レート
1万円=P3,680
$100=P5595

2月28日のまにら新聞から

山火事対策を急げ 森林保護の意識向上も

[ 736字|2020.2.28|社会 (society)|新聞論調 ]

 松林で知られたバギオ市は最近、住宅開発のために街中の松の木を切り取ってしまったが、そのお隣りのベンゲット州でも松が消えつつある。今月、同州カバヤン町で火災が発生し、9日間で約150ヘクタールもの森林が焼失した。さらに先週の20日には同州トゥブライ町のナルセブでも火が出て少なくとも20ヘクタールの松林が数時間で燃えてしまった。

 稲妻も森林火災を起こすが、比でよくある原因は焼畑農業やたばこのポイ捨てなどだ。環境団体などは、大規模火災によって命の危険が生じるだけでなく、植生を回復させるのも難しくなると指摘している。フィリピンは違法伐採と無分別な開発で、既に広大な森林を失っている。政府は現存する森林を守るために地方自治体と協力して対策を取るべきだ。

 このところ、持続可能な農法であるアグロフォレストリ(森林農法)に注目が集まっている。この農法の広まりにより焼畑が減り、森林の生態系を保護しようという地域社会の意識も高めている。エコツーリズムもこうした森林保護の動きを盛り上げている。それでも、監視だけでなく、山火事の消火にもさらなる努力が求められる。トゥブライ町では、消防車の水を補給するために住民が水を抱えて山道を登らなければならなかった。

 先進国でも山火事の消火には苦労している。乾燥して燃えやすい環境に強風が吹いた時はなおさらだ。熱帯の比では森がそこまで乾燥することはなく、多少は火を消しやすいはずだ。とはいえ、山火事対策にもっとましな装備が必要だ。消火能力を向上させるとともに、森に行った際の配慮も大事になる。一人の人間が不注意でたばこに火をつけただけで150ヘクタールもの貴重な森林と野生動物のすみかが危険にさらされ得るのだから。(23日・スター)

社会 (society)