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「混乱や議論避けるため」 少女像撤去でサンペドロ市長

慰安婦「少女像」撤去について「混乱と議論避けるため」とサンペドロ市長

[ 966字|2019.1.4|社会 ]
(上)12月28日に設置された少女像(下)少女像は台座から撤去されていた=それぞれ12月29日午後6時、1月1日午後1時ごろ、ルソン地方ラグナ州サンペドロ市で冨田すみれ子撮影

 サンペドロ市のロアデス・カタキス市長は3日、慰安婦「少女像」の撤去について「像は平和と女性のエンパワメント、比韓の友情のため設置された」と述べ、慰安婦像設置との認識がなかったことを明らかにするとともに、「日本との友好関係を傷つける意図はなく、混乱や議論を避けるために撤去した」と説明した。

 市長は、現在の像の所在や今後、韓国に返還するかどうかなどは明らかにしなかった。日本側から抗議や撤去要請などがあったかどうかについても言及を避けた。

 少女像は、昨年12月28日にルソン地方ラグナ州の同市に設置され、2日後に撤去された。

 市によると、2017年9月、カリクスト・カタキス前市長が韓国の堤川(チェチョン)市を訪問、市内の少女像を訪れ「平和と友情の像」という理解でサンペドロ市への設置について当時の堤川市長と話し合い、協議が進められた。しかし、少女像の制作者である韓国人彫刻家のキム・ソギョンさん、ウンソンさん夫妻が像を完成させた昨年、カタキス前市長は少女像が、ソウルの日本大使館前などに設置された像と同じ物であることを知り、設置に否定的な見解を伝えた。

 これに対し韓国側は「日本では慰安婦像といわれているが、韓国では『平和の少女像』と呼ばれ、全ての女性問題や暴力の被害者、平和を表現している」と説明。碑文には慰安婦問題や第2次世界大戦への言及がないまま「平和と女性のエンパワメントのための記念碑」として設置された。

 像は韓国の伝統衣装を着た少女が座る隣に空席があるが、市によると、比韓の友情を表現するために、比の伝統衣装フィリピニャーナを着た比人少女像が座る予定だったという。

 設置に協力した韓国のキリスト教系団体「ソルト・アンド・ライト・インターナショナル・ワールド・ミッション」によると、比人少女像も韓国でキム夫妻により作られたが、記念碑本体が先に送られ、比人少女像の発送が遅れたため、韓国人少女像だけでの設置になった。また像設置の費用は、堤川市が寄付したという。

 像は市内の女性高齢者向けの介護施設に設置されたが、市は理由について「女性への暴力などの点で場所と記念碑のテーマが一致していた」と説明している。パネロ大統領報道官は3日の会見で「市の判断で撤去されたのだろう」と述べた。(冨田すみれ子)

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