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3月28日のまにら新聞から

政治的判断の意味 離婚と死刑

[ 719字|2016.3.28|社会 (society)|新聞論調 ]

 ビサヤ地方セブ市で20日に開かれた次期大統領選候補者の第2回公開討論会では、離婚の合法化や死刑制度復活の是非について問われた。

 参加した候補者4人は離婚の合法化に反対の意思を表明。特にドゥテルテ・ダバオ市長の支持者にとっては、満場一致での離婚反対は驚きだったに違いない。なぜなら恋のもつれを抱えることでも知られるドゥテルテ市長も含まれていたからだ。

 民間調査機関の世論調査によると、離婚の合法化を支持すると答えた回答者は2005年は44%だったが、徐々に増え続け、2014年には過半数を超えて60%まで上昇した。

 ロハス前内務自治長官も先に「反対派の40%の1人だ」と明言した。離婚合法化の是非については、つまるところ、個人的価値観なのか、影響力のある宗教団体からの反発を回避するための政治的判断なのか。いずれにしても候補者4人全員が少数派に属しているのは興味深い。

 死刑制度復活の是非に関しては、候補者4人の間で意見が割れた。ビナイ副大統領とロハス氏が反対したのに対し、ドゥテルテ市長とポー上院議員は賛成に回った。

 弊紙は創刊以来、死刑制度には反対を表明し続けてきた。収監の本来の目的が社会復帰にあるのならば、死刑は責任逃れの何物でもない。

 ビナイ副大統領は「誰かの命を奪うのは、文学的に言えば神の業」だと主張し、ロハス氏は捜査能力に問題がある治安当局の現状を踏まえ「死刑制度は無用」と一蹴した。 

 昨年11月の段階で反対したポー上院議員が立場を一転させたのも予想外だ。個人的価値観からか、あるいは政治的配慮からか。ドゥテルテ市長と並んで貧困対策を推進しているのもまた興味深い。(23日・インクワイアラー)

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