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7月6日のまにら新聞から

空軍力の強化を 国軍近代化

[ 712字|2015.7.6|政治 (politics)|新聞論調 ]

 昨日、68回目の創立記念式典を執り行ったフィリピン空軍には、実はそれ以上の歴史がある。米国自治連邦区(コモンウェルス)時代の1935年、比航空警察隊が設立され、その後、比陸軍航空隊に改名された。設立当初は3機の航空機しか保有していなかったが、太平洋戦争が勃発した41年には54機を保持していた。

 旧日本軍がコレヒドール島を攻撃、陥落させ、新たな占領期が始まった。比米両軍の敗北は空軍力強化につながるはずだった。47年7月1日、比空軍が正式に発足。東南アジア諸国では3番目となる空軍だった。しかし、残念なことに我が国はその空軍力を維持することはできなかった。

 空軍創立式典では、域内で最弱といえる、我が国の空軍の実態を突きつけられた。軍事力のもろさは、海洋の安全を密漁者や海外諸国の侵略から守れずにいる状態をみれば一目瞭然だ。空軍は、超特大台風ヨランダ襲来時など災害への対応でも、適切かつ迅速な動きができない。

 軍事力の弱さは、我が国が安全保障において長く米国に依存してきたことにも関係している。米軍基地が撤退した後、失った防衛力を強化する安全保障政策はほとんど講じられなかった。サンバレス州スービック基地から米軍が撤退した数カ月後、中国は我が国が領有権を主張する南シナ海ミスチーフ礁(比名パンガニバン)で建造物を構築、国旗を掲げて実効支配を始めた。

 中国が南シナ海に突き出すほぼ全ての環礁、岩礁を占領しようという現在、フィリピンは遅ればせながら軍事力を強化し始めている。国の強い指導力で空軍を強化することが重要だ。比空軍の実態は「空っぽで軍ではない」というお決まりの冗談を飛ばす余裕はない。(2日・スター)

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