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3月1日のまにら新聞から

外資規制の緩和なるか 下院で審議の憲法改正

[ 846字|2021.3.1|経済 (economy) ]

外資規制を定めた憲法の経済条項を改正する審議が下院で再開された

 1987年に成立した現行のフィリピン憲法の経済条項を改正する下院での審議が2月下旬から再開された。改正の目的は、外国人の土地所有などを一律に禁じているなど外国人投資家に不利な条項に例外を設け、外国投資を促進することにあるが、反対論も根強く、改正実現には多くのハードルが残されている。現憲法が改正されれば、成立後初の改正になる。

 下院が当初、改正の対象としたのは12条2項(資源探査・開発における外資制限)、同3項(外国人の公有地の利用)、同7項(外国人による土地所有禁止)、同10項(特定の投資における外資比率制限)、同11項(公共事業運営への外資制限)、14条4項(教育機関への外資制限)、16条11項(マスメディアへの外国人の出資禁止)の7項目。

 いずれの項目にも「法律に別段の定めがない限り」という文言を追加し、例外を認める法律を制定することで、外国投資家が出資しやすくする方向で検討を始めた。

 しかし、今月2日の下院憲法改正委員会では改正対象条項から12条7項の外国人による土地所有禁止が外され、フィリピン人のみに土地所有を認める項目は維持されることになった。ただ、外資比率を40%までとしている場合が多い他の対象項目の外資比率が変われば、外国人投資家には朗報になるとみられる。

 下院憲法改正委のガルビン委員長は「現行憲法は完璧とは程遠く、正す時が来た」とし、外国投資は「国内の雇用を支え、様々な産業で資本の創出を支援し、比経済で重要な役割を果たしている」と対象項目について改正の必要性を訴えている。

 現行憲法は改正に上下両院全議員の4分3以上の賛成が必要で、日本国憲法の3分の2より改正が難しい「硬性憲法」となっている。ただし、現在の上下両院はドゥテルテ与党がいずれも4分の3以上を占めていることから、改正が承認される可能性はある。議会が承認した後は国民投票による過半数の賛成が必要で、投票は2022年5月の大統領選と同時実施される可能性が高い。(石山永一郎)

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