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4月26日のまにら新聞から

次なる大地震に備えを ルソン島北中部地震を経験し

[ 793字|2019.4.26|社会 (society)|新聞論調 ]

 先日、マグニチュード6・1の地震がルソン島中部や首都圏を襲った。当日、マカティ市中心部の高層ビルで構造調査が始まり、地下にある駐車場に入れなくなって従業員らが公共交通機関で帰宅せざるを得なくなった。マニラ市エルミタにあるエミリオ・アギナルド大学でも校舎が傾いた。中華街でも高層コンドミニアムが大きく揺れて、最上階にあったプールの水が地上に落ちてきたという。

 しかし、最も深刻な被害はパンパンガ州ポラック町にあった4階建てスーパーマーケットの倒壊だろう。昨夜時点で9人が救出されたものの、5人が遺体で見つかった。従業員の9割がまだ消息不明という。このビルはまだ築5年で国の建築基準をすべて満たしていたという。ビリヤール公共事業道路長官はメディアに対し、同社のパンパンガ州にある別の3カ所のスーパーの建物の構造を調査するほか、被害を受けた地域で橋や道路などの構造についてもチェックすると述べた。

 地質学者らはこれまで大地震の起こる可能性について警告してきた。人類は月に人間を送り、火星に探査機を送ることもできるようになったが、地震の予知はまだ不可能だ。私の知る限り、日本が最も自然災害に対する備えができている国だ。私が訪問した際も、付近の避難場所や医療機関、緊急支援物資が配給される場所などの道路標識をみかけた。子供たちも学校で避難訓練や地震のシミュレーションなどの学習を受けている。それでも2011年3月に発生した東日本大震災では十分な対応ができなかったという。

 首都圏でも6市町を縦断する活断層が走っており、最低でもマグニチュード8・5の地震が起きる可能性があるという。首都圏を襲った大地震は1658年が最後。マニラでは過去、4〜5百年の周期で大地震が起きているという。今回の地震はわれわれに次なる大地震への備えを促している。(24日・スター、アナマリー・パミントゥアン)

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