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4月7日のまにら新聞から

他の議員も訴追せよ

[ 702字|2014.4.7|社会 (society)|新聞論調 ]

補助金不正流用

 架空の民間団体を通じて優先開発補助金(PDAF、通称ポークバレル)をだまし取り、その一部が国会議員に「還流」したとされる事件で、現職上院議員ら50人以上を起訴する方針を固めた行政監察院を称賛する。有罪と決めつけているわけでないが、起訴に値する十分な証拠はあった。犯罪を犯した重大な疑いがあるならば、容疑者は起訴されるべきなのだ。

 フィリピン国民が司法を信用しない主な原因は、有力者への告発は新聞の一面を飾るなど世間で取り沙汰されるが、結局は全てが単なる見せ物に終わるからだ。国民の怒りの矛先は一定期間は、汚職した悪者に向けられる。しかし、結局は罪を問われることはなく、全てが忘れ去られてきた。

 行政監察院の起訴決定は、「汚職は許さない」という姿勢を国民に示している。大失敗となりそうだったアキノ政権が訴える「まっすぐな道」政策を救ったかたちだ。

 まだ実現しなければならないことがある。サンチャゴ上院議員は「人の道を踏み外した他の上院議員も追及しろ」と主張している。彼女はエンリレ、エストラダ、レベリヤ各上院議員への起訴をきっかけに、ポークバレルを不正に流用したと指摘された他の議員への調査を望んでいるのだ。

 そうはいっても、上院はサンチャゴ議員や国民が求める調査を実施しないだろう。大統領府の意向も影響したのか、上院は調査を担当する委員会を開きすらしないようだ。調査を実施すれば、事件の首謀者とされるナポレス被告とかかわりがある政権関係者が明らかになる。司法省が公正な立場を貫き、政治的な立場にかかわらず、補助金を不正に着服した全ての人物を追及するよう、期待している。(4日・タイムズ)

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