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10月2日のまにら新聞から

英王室への憧れは終わるのか エリザベス2世逝去

[ 680字|2022.10.2|社会 (society)|新聞論調 ]

 英女王、エリザベス2世が9月8日にこの世を去った。享年96と長生きだった。世界最高齢の国家元首であり、史上2番目に長く君主として君臨、英国で最も長く70年間王位に就いた。

 9月19日、ロンドン郊外ウィンザー城のセントジョージ礼拝堂の一角、夫のフィリップ殿下も眠るジョージ6世記念礼拝堂に埋葬された。エリザベス2世が永遠の眠りについたとき、世界は君主制の役割、英国王室への憧れ、そして世界のリーダーの1人の逝去について再び考えさせられることとなった。

 エリザベス2世は、現代の世界に君臨する唯一の女王ではない。君主制が残る国はいまだ26カ国あり、うち12カ国は欧州だ。デンマークやスペインにも女王はいるが、世界が最も魅了され、「クイーン」と聞いてまず思い出すのは、間違いなく英王室の英女王だろう。

 この「イギリスの王族や制度に対する好意や憧れ、また旧大英帝国に対する郷愁」を表す「アングロフィリア」という言葉が存在する。ハリウッド映画などをみても、アングロフィリアは今日まで消えていないことが分かる。

 一方で、いまだに何らかの形で英国支配下にある国もある。英国の長年の植民地支配と弾圧、市民に与えた苦痛に対し、英国君主からの謝罪を求める声も少なくない。

 エリザベス2世の死は、王族の象徴に対する魅力の終わりの始まりなのだろうか。それは誰にも分からない。エリザベス2世が歴史と多くの人々の心に足跡を残したことは確かだ。騒がしく混乱の世をついに去った女王のご冥福をお祈りする。(9月21日・マニラブレティン、ジュン・イナレス・アンティポロ市長)

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