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9月18日のまにら新聞から

マルクス主義者が辞退したわけ ラモン・マグサイサイ賞

[ 635字|2022.9.18|社会 (society)|新聞論調 ]

アジア版ノーベル賞といわれる第64回ラモン・マグサイサイ賞を、インドの元州保健局長が辞退したと聞いて、多くの政治家はショックを受けただろう

 アジア版ノーベル賞といわれる第64回ラモン・マグサイサイ賞を、インドの元州保健局長が辞退したと聞いて、多くの政治家はショックを受けただろう。

 インド・トゥデイ紙は4日、KKシャイラジャ元ケーララ州保健相(65)が、コウモリを媒介して感染し脳炎などを発症するニパウイルスおよびパンデミックをもたらした新型コロナウイルスとの闘いにおいて目覚ましい成果を挙げたことで受賞できたはずの同賞を、なぜ辞退したのかについて報じた。

 マルクス主義を奉ずるインド共産党の主要メンバーであるシャイラジャ氏は、賞を受け取らないという決定は「党内での議論の末になされた」と述べたという。いわく、「私は政治指導者であり、この賞は通常、政治指導者には決して与えられない」「私はインド共産党の中央委員だ。党の指導者たちと話し合い、辞退することにした。大きな賞だが(実施主体のラモン・マグサイサイ・ファウンデーションは)民間団体であり、通常、共産主義の原則を支持しない」。

 シャイラジャ氏のノミネートは、マグサイサイ賞がイデオロギーを超えたものであることを示している。私たちはそこに、故マグサイサイ大統領が言ったように「より持たざるもの」である大衆に、より良く奉仕したいと真に願う人たちへの門戸を見たのである。

 「シャイラジ先生」と呼ばれ親しまれているシャイラジ氏が、自身の政治的信条と党内力学の結果、受賞を辞退したことは残念でならない。(15日・スター、フェデリコ・パスクアル)

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