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5月19日のまにら新聞から

悪玉は予算管理長官 補助金不正流用事件

[ 683字|2014.5.19|社会 (society)|新聞論調 ]

 ジャネット・ナポレス被告が主犯格とされる、国会議員向け優先開発補助金(PDAF、通称ポークバレル)の不正流用事件で使われた手口は、アバド予算管理長官の発案だった可能性が浮上している。

 ラクソン前上院議員が、ナポレス被告の上院に引き渡した書類の中には、流用の手口に関するナポレス被告の供述が書かれたものもある。それによると、ナポレス被告は2000年、架空の基金をでっち上げ、公金を議員に還流する方法をアバド長官に教示されたという。

 アバド長官が手口の考案に関与したならば、批判の的がエンリレ、エストラダ、レビリヤ野党議員3人に集中していたこともうなずける。与党議員も不正行為の恩恵を受けていたはずだ。会計検査院の特別監査のための書類は予算管理省が提出した。しかし、同院からの再三の要請にもかかわらず、同省は全議員の支出履歴を提出しなかったという。

 同長官に手口を教示されたとするナポレス被告の供述から、政権与党自由党(LP)関係者が以前から同様の不正を行ってきたとも推測できる。与党全体が関わっていたとの不祥事が明るみに出れば、アキノ政権が崩壊する可能性もある。

 LP全体が考案者で、アバド長官だけでなく、他にも主要な政治家が関わっているのではないか。アキノ大統領は公金を不正流用しただけでなく、手口を考案した一味の内部関係者なのではないか。その答えは手口を作り出した者にしかわからない。

 もう秘密はばれてしまったのだ。与党陣営に牛耳られた上院が、勇気をもって、アバド長官や現職議員に対する調査を実施するかが問われている。(15日・トリビューン)

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