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2月10日のまにら新聞から

水上交通の活用を

[ 725字|2014.2.10|社会 (society)|新聞論調 ]

首都圏の渋滞対策

 大型トラックを対象にした首都圏マニラ市の通行規制は正しい。マニラ港に出入りするトラックが、首都圏の渋滞を激化させる要因の一つになっていることに疑いの余地はない。物流業者側は規制による損失を訴えるが、渋滞激化に伴う経済的損失の方がはるかに甚大だ。

 渋滞が年々激化する中、交通行政を担う首都圏開発局(MMDA)は、プレートナンバー末尾規制やバス専用車線新設など、さまざまな渋滞緩和策を講じてきたが一時しのぎにすぎず、効果は限定的だった。

 抜本的対策を検討する上で、考えねばならないのは渋滞激化の根本的理由。答えは簡単で、車の多さに比べて道路が少なすぎるのだ。

 自動車メーカーや密輸業者は年間50万台を超える車を比国内に持ち込み、その大部分は首都圏など都市部に集中する。さらに、古い車がスクラップになる先進国とは違い、比では米軍の払い下げを使ったジプニーや老朽化した中古バスが半永久的に走り続ける。つまり、台数は、増えはしても減ることはない。東京など海外の大都市では、車庫証明がないと車を買えないが、比では野放し状態。富裕層が住む高級ビレッジでさえ、夜間は路駐が目立つ。

 このような状況下、渋滞緩和策として提案したいのは、首都圏と近隣州を結ぶ鉄道と海・川を利用した水上輸送だ。鉄道網がきちんと整備されれば、首都圏に入るトラックの台数は減り、近隣州からの通勤者もバスや自家用車を使わなくなるだろう。また、首都圏〜?カビテ州間やパシッグ川における通勤用フェリーの運航再開も渋滞緩和に結び付く。これらフェリーは、採算問題などで運航中止に追い込まれたが、政府は補助金を出してでも運航を再開させるべきだ。(7日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)

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