経済成長を優先せよ
過去最悪の失業率
民間調査機関のソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)が公表した失業率調査は、アキノ政権に衝撃を与えた。現政権は経済にもっと、気を配るべきだろう。
SWS調査によると、全回答者の34・4%が「失業中」と答えた。これは、前アロヨ政権下の09年2月に記録した34・2%を更新する史上最悪の数字で、失業者数は推定1380万人に上る。
アキノ大統領は就任当初から一貫して、汚職撲滅が経済成長につながると主張してきた。しかし、汚職撲滅キャンペーンは前政権関係者を標的にした政治的復讐にすぎない、との批判も少なくない。
実際には、反汚職運動が続いた2年間、貧困状況はむしろ悪化した。今こそ、強い経済こそ、より効果的な汚職対策になるという前提に立ち返る時だ。
大統領の最優先課題は、雇用の創出だろう。国内の民間企業や外資に、投資の拡大を強制できない。しかし、政府が歳出を拡大して、経済に弾みを付けることは可能だ。
2011年の経済成長率は減速し、3・7%にとどまった。エコノミストはその理由として、不十分な公共投資を批判した。12年も緊縮財政が続き、4月の収支は28億8千万ペソの黒字だった。
公共投資の量だけでなく、質も問題だ。社会・経済基盤の修復や維持ではなく、新規事業を優先しなければならない。
経済成長は、雇用を創出する。労働力の獲得競争が激化すれば、賃金も上昇し、離職者が減る。
汚職対策に取り組む省庁はある。大統領は、自身が任命した長官らの仕事ぶりに不満がないのなら、経済問題にもっと目を向けるべきだ。(23日・タイムズ)