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5月11日のまにら新聞から

候補者に目立った動きなし コロナ禍でSNS対応焦点に

[ 1364字|2021.5.11|政治 (politics) ]

次回大統領選まで1年切る。立候補が予想される有力な人物らも静観ぎみ

 2022年5月9日に予定されている大統領選まで1年を切った。ドゥテルテ大統領の後継候補はやはり支持率調査でトップの娘のサラ・ダバオ市長か、それとも国民的英雄のパッキャオ上院議員か。首都圏やルソン地方北部で根強い人気を誇るボンボン・マルコス元上院議員や最近、メディアへの露出度が高いモレノ・マニラ市長らが出馬し、ルソン対ミンダナオ出身政治家による対決となるのか。あるいはロブレド副大統領など野党系の統一候補が誕生し、与党候補と一騎打ちになるのか。

 選挙1年前にもなれば候補者の動向が派手に報じられるところだが、今年はコロナ禍の影響で有権者登録も進まず、選挙キャンペーンや郵便投票を含めた投票手続きについてもガイドラインが策定されておらず、出馬が噂されている政治家らも

ほとんど静観の構えだ。

 10日付英字紙スターによると、マニラ大聖堂など首都圏にある主要なカトリック教会が9日正午、一斉に教会の鐘を鳴らした。来年の大統領選まで1年のカウントダウンを信者らに伝えるためで、信者らに「投票に向けて有権者登録を行うよう」呼び掛けた。中央選管のヒメネス報道官は9日、9月30日までの新規有権者登録について「モール施設などのサテライト登録会場の運営をまもなく開始する」と発表。有権者登録は昨年から始まっているが、18歳以上で新たに有権者になる若年層が700万人いると推計されているものの、防疫強化措置中は登録手続きが中断されるため、これまでに登録を終えたのは約200万人にとどまっている。首都圏とその近郊4州などは修正防疫強化地域(MECQ)に指定されたままで、有権者登録が再開できない状況だ。

 ▽選挙運動の細目に注視

 大統領選の立候補の届出は10月1日から8日までで、選挙運動期間は正副大統領や上院議員などの候補者は22年2月8日〜5月7日となっている。今、出馬を狙う者たちの間で注目されているのは選挙キャンペーンに関する規則細目だ。コロナ感染対策を念頭に従来の選挙集会やパレード、有権者との接触がどれだけ許されるのかなどの規則細目がまだ発表されていないためだ。

 また、現在の選挙運動で主流となるソーシャルネットワーク(SNS)を使ったキャンペーンを中央選管がどこまで規制できるかも懸念材料として挙がっている。従来のテレビやラジオ、ビラや横断幕などの広告費用については立候補する役職

ごとに費用上限が決まっているものの、SNSを使ったキャンペーンの場合、中央選管がどこまで監視できるかなど不明な点が多いとされる。

 比の大統領選では最後まで何が起きるか分からない。サラ・ダバオ市長は自身や父親も「大統領選には出馬しない」と何度も否定しているが、状況次第では娘と父がペアで正副大統領選に立候補する可能性も取りざたされている。

 前回大統領選でドゥテルテ氏は、15年10月の時点でダバオ市長選に立候補を届け出ていた。世論調査などで常に大統領候補として人気が高いことを知って勝てると踏んだのか、当時の野党、PDPラバンから大統領選に立候補を届け出ていたマーティン・ディノ氏(現内務自治次官)が急きょ撤回し、11月下旬になってドゥテルテ氏が代理で大統領候補として出馬するという裏技を使い当選している。(澤田公伸)

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