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5月16日のまにら新聞から

変革かUターンか

[ 718字|2016.5.16|政治 (politics)|新聞論調 ]

ドゥテルテ次期政権、ちらつく当時の顔ぶれ

 「変革は訪れる」というドゥテルテ陣営の主張は、アキノ政権と変わらず「真っ直ぐな道」を提唱する対抗馬よりは期待が持てた。しかし「変革」が新しい顔、新しい政策、新しい方向性を意味するのであれば、それはむしろ失望に値するだろう。

 「金魚のふん」のごとくついて回る弁護士をはじめ、ドゥテルテ・ダバオ市長を取り巻く側近について考えたい。そこにはラモス、アロヨ両政権下で元閣僚だった当時の政治家たちの顔ぶれがちらつく。つまりわれわれの目の前にあるのは前進ではなく、Uターンの可能性だ。

 両政権下の元閣僚に加え、退役した国軍参謀総長、さらにはミンダナオ地方の財界首脳陣は、大統領選を戦う同市長を資金面で支えたとされる。その真意とは何か。

 考えられる筋書きとしては、首都圏ケソン市の公立病院で拘置中のアロヨ前大統領=現下院議員=の釈放だ。

 これに続く釈放の対象は、アロヨ前政権下で起きた優先開発補助金不正流用事件に関与したとして略奪罪に問われ、未決拘置中のレビリア、ジンゴイ両上院議員。同じく略奪罪に問われ、高齢などを理由に保釈を認められたエンリレ上院議員を羨望(せんぼう)のまなざしで見つめているはずだ。事件の主犯格、ナポレス被告=監禁罪で終身刑の一審判決=も同様の処遇を受けるのか。

 筋書き通りに運ぶのなら、理解の範疇を超える。世論調査によると、同市長を支持した多くの有権者が懸念するのは、犯罪多発と薬物中毒の氾濫に続いて汚職問題だ。にもかかわらず、汚職撲滅を最優先課題に掲げたアキノ現政権が取り締まった大物たちの政界復帰を容認してもよいのか。それのどこが「変革」なのか。(13日、インクワイアラー、リナ・ヒメネス・ダビド氏)

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