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7月15日のまにら新聞から

前倒しで0.75%利上げ 中銀、上げ幅は前回の3倍

[ 842字|2022.7.15|経済 (economy) ]

中央銀行の金融政策委員会が緊急会合を開き、政策金利の0・75%引き上げを決定

 比中央銀行の金融政策委員会は14日、緊急会合を開き、政策金利の0・75%引き上げを決定した。翌日物借入金利(RRP)は3・25%、翌日物預金金利(ODF)は2・75%に引き上げられ、コロナ禍で金融緩和を行う前(2020年3月)の水準に戻った。

 比中銀は米国の連邦準備制度理事会(FRB)が3月以降利上げを始めたのを受け、5、6月の直近2回の金融政策決定会合で0・25%ずつ利上げを実施。メダリヤ中銀総裁は、8月18日に開かれる次回の金融政策決定会合でその2倍の0・50%の利上げを示唆していたが、予定より1カ月前倒しし、直近の3倍の引き上げ幅で利上げを実施した。

 14日の英字紙スター電子版によると、緊急利上げの動きは13日夜から。同日、米国の6月インフレが約41年ぶりの9・1%という高水準を記録し、FRBが1・00%の利上げを実施するとの観測が浮上したことを受け、緊急利上げに踏み切ったとしている。

 FRBは6週間ごとに開かれる連邦公開市場委員会で、3月に0・25%、5月に0・50%、6月に0・75%と、「0・25%ずつ」という当初予定を繰り上げ、急速に利上げを進めている。

 メダリヤ総裁は声明で、今回の緊急利上げを「中銀がインフレ対策に真剣であることを国民と市場に確信させるため」と説明。「特に、国内インフレ期待を不安定化させる国外からの影響を制御することを意図している」とし、ドル高ペソ安圧力への対処であることを示唆した。

 国内インフレ期待が高まると、賃金引き上げ圧力が強まり、賃金引き上げによる人件費上昇は価格に転嫁され、更にインフレを加速させるという悪循環をもたらす可能性がある。更に、外的要因によるコストプッシュインフレであるため、雇用の悪化や実質所得の減少を伴う可能性も大きい。

 その一方で、国内利上げは民間設備投資、住宅投資を鈍化させ総需要を抑制することで物価をコントロールする手段であるため、経済成長にとって足かせともなる。(竹下友章)

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