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3月27日のまにら新聞から

ボニファシオ基地跡

[ 1228字|2005.3.27|社会 (society)|名所探訪 ]

超高級志向の最先端都市へ

 かつて国軍基地だったフォート・ボニファシオが未来型都市として大きく変ぼうを遂げている。マカティ市に隣接するタギッグ市北東部に位置する新ゾーンは「ボニファシオ・グローバル・シティー」と命名された。今年六月にオープン予定のマニラ国際空港第三ターミナルやビジネス街のパシッグ市オルティガス地区へも至近距離にあり、フィリピンの商業の中心地、マカティ市の「セントラル・ビジネス地区」を越える最先端の街並みが形成されつつある。

 面積は二百四十ヘクタールで、タギック市全体の約五%を占める。米軍が完全撤収した一九九二年に設けられた基地転用開発庁(BCDA)が、マカティの商業地区開発を手掛けたアヤラ・ランドとエバーグリーン・ホールディングの財閥系不動産企業にボニファシオ基地跡の開発権を入札方式で移譲した。以降、二社はBCDA傘下のフォート・ボニファシオ開発公社(FBDC)とともに土地開発を担ってきた。

 九六年から開発が始動したものの、エリア北東部にあるマニラ日本人学校(MJS)新校舎が着工された二〇〇〇年ごろはまだ一帯は区画整理の途上で、だだ広い野原が広がっているだけだった。だが、翌〇一年に高級コンドミニアム「エッセンサ」と「パシフィック・プラザ」が完成、これを機に新エリアは見る見るうちに発展した。

 MJSの隣にインターナショナル・スクールとブリティッシュ・スクールが相次ぎ移転。洗練された世界各国の料理店が並ぶレストラン街「フォート」や多目的イベントホール「NBCテント」のほか、昨年十月にアヤラ系の大型ショッピングモール「マーケット!マーケット!」がオープンした。このモールは生鮮野菜や魚介類、花の市場を売り物にしており、日本人駐在員夫人の間でも「水菜まであるし野菜類が充実し、値段も手ごろ」と好評だ。

 現在、外国人駐在員や富裕層のフィリピン人が居住するエッセンサなど六つの高級コンドミニアムに続き、六つの新コンドミニアムが建設中。オフィスビルはまだ二つだけだが、ビル建設計画は目白押し。国内屈指と評価の高い「聖ルーク病院」(ケソン市)も〇八年完成をめどに六〇〇床の病院建設に着手する。

 また、最先端の情報技術(IT)都市を目指しており、電線や光ケーブルを地下敷設するなど通信インフラ整備にも力を入れている。豪雨時に冠水しないよう排水管システムを充実し、上水も二十四時間供給される。マニラでの生活につきものの冠水、断水、停電とは無縁という。「マカティはすでにオフィスビルも車の通行も飽和状態。グローバル・シティーでマカティの機能を補完、拡充したい」。FBDC事業開発マネジャー、ステファニー・リンガッドさん(35)はこう語った。

 ここでは住居も商業施設も学校もすべてが超高級志向。エリア内では巡回バスも走っているが本数も少なく、ダイヤはない。移動手段は自家用車のみと言っても過言ではない。この町は比の庶民にとっては隔絶された別世界なのである。