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11月25日のまにら新聞から

邦人3人が恐喝被害

[ 1101字|2013.11.25|社会 (society)|特集記事 ]

女医装い約12万ペソ強要

 日系企業駐在員の男性(56)=東京都出身=ら日本人3人が、大学生を名乗る比人女性2人に首都圏パサイ市の民家に誘い込まれた後、計11万5千ペソをだまし取られた。女性の1人が腹痛などを訴え、医者を名乗る比人女性らが現れ治療費を強要するという手口で、通報を受けた首都圏警察パサイ署が恐喝の疑いで犯人らの特定を急いでいる。

 マニラ新聞の取材に応じた被害男性によると、3人は10月25日、比人女性2人に首都圏マカティ市内の和食レストランで英語で声を掛けられ、知り合った。31日午後9時ごろにも2人に誘われ、同市内のレストランで夕食をした後、女性が用意した乗用車で首都圏パサイ市のカラオケ店に出掛けた。カラオケ店は満席だったため、女性2人は自宅で酒を飲もうと提案。再び車で同市内の民家に移った。そこへさらに2人の比人女性が現れ計7人で酒盛りが始まった。

 午前0時ごろ、比人女性2人が「買い物に行く」と出掛け、残った女性2人のうち1人が突然、比人女性が頭痛や腹痛を訴え、トイレで吐き出した。買い物に出た2人と、それに続いて白衣を着た、医者を名乗る女性が部屋に入ってきた。医者という女性は、吐いていた女性を診察し「治すには手術が必要」と言い出した。女性を救急車で大きな病院に運ぶと言い、治療費として7千ドルを要求した。吐いていた女性の兄を名乗る男性も現れ、拳銃を突きつけるなどして日本人男性3人を脅した。

 3人は支払いを拒否したが、車に乗せられ、自動現金預払機(ATM)から現金を引き出すよう強要された。車には拳銃を持った自称兄と女医、他に女性1人と男性運転手がいた。

 日本人男性の1人がATMで現金3万ペソを引き出して女医に渡すと、次に近くの薬局に連れて行かれ、「薬を予約する」との名目でクレジットカードで8万5千ペソを支払わされた。

 この間、他の日本人男性2人は車内で待たされ、「兄」を名乗る比人男性から拳銃で脅されていた。

 この後、3人は車で数カ所に連れ回された後、翌1日の午前8時ごろ、首都圏マカティ市にある3人の自宅近くで降ろされた。

 この間、3人は「女医」に繰り返し身分証明書の提示を求めたが、最後まで示されなかったという。

 在留外国人を狙った同様の手口の恐喝事件は多発しており、2007年には、「女医」と「兄」を装い、日本人駐在員に「比人女性に危害を加えた」として恐喝行為を行った事件が起きている。

 被害に遭った日本人男性は、「こうした事件は比では初めてで、驚いた。他の在留邦人の方にも、こういったことが起きないよう、新聞を通じて警告できれば」と話した。(加藤昌平)

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