「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
35度-24度
両替レート
1万円=P3,670
$100=P5675

5月18日のまにら新聞から

72時間に1人レイプ被害 妊娠中絶合法化

[ 713字|2015.5.18|社会 (society)|新聞論調 ]

 多くのフィリピン人は、妊娠した女性が近親相姦やレイプの被害者だとは知らずに、妊娠中絶をすることを非難する。比では、72時間に1人の割合で、女性や少女たちがレイプされている。

 2014年の警察の報告によると、7409人の女性がレイプ犯罪の被害届を警察に出している。しかし、この数字はあくまでも警察に届け出を出した女性の数字であり、実際にレイプされた被害女性の数からすれば「氷山の一角」にすぎない。

 多くの比人にとっては、レイプはニュースで読んだり聞いたりするだけの、現実離れした話題なのかもしれない。しかし毎日、レイプの被害者の女性の苦しみに直面し、彼女たちの「心と体の傷」を目の当たりにする弁護士やソーシャルワーカー、心理学者、精神科医にとっては、れっきとした現実の問題なのだ。レイプ被害の女性たちの、レイプによる「望まない妊娠」の中絶を否定することはできない。

 比の法律は、レイプ被害者が自身の人生と健康にとって中絶が必要であるか否かについて、自らの意思で決める権利を与えるべきであろう。公衆衛生として、安全で合法な妊娠中絶手術を受けられる環境を整えて、人権問題として中絶問題と向き合う時が来ている。

 12年には、約61万人の比人女性が危険な非合法妊娠中絶の手術を受け、そのうち10万人が病院に運ばれ、約千人は安全や衛生が確保されていない中絶手術が原因で命を落としている。

 スペインやポルトガル、コロンビア、コスタリカなどのカトリック教の国々では、妊娠中絶の権利を法律で認めている。比も中絶した女性を罰する法律を思いきって廃止し、女性の権利と健康、そして命を守るべきである。(14日・インクワイアラー)

新聞論調