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5月4日のまにら新聞から

危険に備えろ ネパール大地震

[ 685字|2015.5.4|社会 (society)|新聞論調 ]

 ネパール大地震の発生以降、倒壊した建物のがれきの下から遺体が次々に発見されて死者は増え続け、4月27日時点で3700人を超えた。ヒマラヤ山脈を揺るがしたマグニチュード(M)7・9の地震の影響で、エベレストの頂きに続く山稜では、雪崩に巻き込まれた登山家たちの救出活動が続けられている。

 環太平洋火山帯に沿うフィリピンも、地震とは決して無関係ではない。1990年7月16日にルソン地方北部一帯で起きたM7・8の地震は、1600人以上の死者を出した。アウロラ州からヌエバエシハ州までの125キロで地盤が崩れ、家々や商業施設を飲む込む液状化現象が起きた。地滑りが起きたバギオ市では、高級ホテルが倒壊し、取り残された宿泊客約80人が死亡した。震源地に近いカバナトゥアン市では学校の倒壊で生徒150人が犠牲になった。

 フィリピンの歴史は、教会や地域社会を破壊する地震被害で埋め尽くされていると言っても過言ではない。2013年10月にはボホール州をM7・2の地震が襲い、220人以上が犠牲になった。

 ネパールの大地震は、防災対策の緊急性を思い起こさせてくれた。近年の報告書では、首都圏は強い地震に対する防災対策が不十分という。

 専門家の間では、マリキナ断層の地殻変動によって首都圏直下型の巨大地震が発生すると予測されている。しかし、地震発生による火災や都市機能のまひ、犠牲者の救出も含めて首都圏は設備が整っていない。

 近隣諸国で大地震が発生するたび思うのは、緊急支援の準備や災害軽減に向けた対策強化は早く実施するに越したことはないということだ。(スター・28日)

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