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2月9日のまにら新聞から

倒れた兵士に正義を マギンダナオ戦闘

[ 725字|2015.2.9|社会 (society)|新聞論調 ]

 マギンダナオ州で警官44人がモロ・イスラム解放戦線(MILF)によって虐殺された。トウモロコシ畑で無意味に殺されたのだ。国全体が怒りに震えたにもかかわらず、倒れた警官たちに正義は実現されていない。過去の政権であれば軍最高司令官である大統領は犯罪者の逮捕に向け徹底した捕獲作戦を命じただろう。今回はどうしてそうはならないのか。

 ロハス内務自治長官によると、アキノ大統領はデリマ司法長官に刑事訴追に向けた捜査を始めるよう指示したという。このような捜査はどれだけ時間がかかるのだろうか。1カ月かそれとも半年かかるか分からないが、私に言わせればこれは時間稼ぎに過ぎない。事件に対する国民の怒りが収まるように、また最近浮上しているクーデターのうわさが静まることを期待した措置としか思えない。テレビ番組も犠牲者たちの告別式が終わるとあまり報道しなくなった。メディアも巻き込み、事件を忘却させようとする力が働いている。

もし、捜査の対象がMILFであれば、まずアキノ政権がすべきなのはムラド議長に対し、犯罪者の身柄を24時間以内に引き渡すよう要求することだったはずだ。大統領はそれすらやっていない。我らの兵士を殺したMILFに対してどうして穏やかに対応するのか。正義を声高に叫ぶべきではないか。

 今回の事件についてはMILF議長が指導者責任を負うべきだ。テロリストたちは44人の警官を殺しただけでなく、笑いながら死体を傷つけたり、服を脱がせたりしている様子がビデオで投稿までされたのだ。この様子を見て私は涙が出て仕方なかった。アキノ大統領はこのせい惨な事件で自分自身の手も血に染めたも同然だと私は言いたい。(3日・スター、ボビット・アビラ氏)

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