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11月10日のまにら新聞から

軍事協定見直しを 在比米軍プレゼンス

[ 714字|2014.11.10|社会 (society)|新聞論調 ]

 在比米軍のプレゼンスを強化する「防衛協力強化に関する協定」(EDCA)と、訪問米軍地位協定(VFA)の2つは、不完全かつ不必要であるだけでなく、国際社会を刺激し、政策論争を招くものだ。米国と中国の二極対立がますます複雑で地政学的な盛り上がりを見せている情勢下で、比がどちらか一方を友好国として選ぶことについては時期尚早だ。

 にもかかわらず、なぜ米国にだけ従順になってしまうのか。なぜ「米国の使い走り」と揶揄(やゆ)され、属国になり下がっているのか。

 米国にとって、EDCAとVFAは経費削減と節約のための戦略だ。これら協定によって、米軍は以前のように自軍基地の建設・管理に国費を割くことなく、比国軍の前線基地に軍隊をローテーションで配備でき、米軍兵士は自由に休暇を楽しむことができるようになる。一方、比は協定によって植民地精神や米国追従の文化から容易に脱却できなくなってしまう。

 比には長期的な展望や計画性が欠如しており、最新式の武装といった最大限の物質的利益を米国から得られるような交渉はできない。一方で、米国は常に自国の国益が何かを理解して行動している。もし米国が本当に協定を必要としているのなら、米国に比の国防への資金援助をさせるべきだし、比軍への中古で旧式の武装提供は中止させるべきだ。逆に、たとえVFAが廃止できないとしても、せめて期間やコスト、利益について再交渉し、米国と対等な条件にしてほしい。

 結局、侵略行為がなされない限り、米国は比を守ることはない。また、南シナ海での「航行の自由」が脅かされない限り、米国は比中の領海問題に口出しすることもない。(3日・ブレティン、ヘクター・ビリヤヌエバ氏)

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