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11月3日のまにら新聞から

迅速さと透明性 被災地復興計画

[ 686字|2014.11.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 超大型台風ヨランダが東ビサヤ地域の社会基盤を根こそぎ破壊してから1年。被災地の包括的復興計画がようやく承認された。

 復興担当のラクソン大統領顧問は、国民が予算執行の内容を精査できるように、専門のウェブサイトを立ち上げると表明した。総事業費1679億ペソは住民移転、インフラ整備、生活再建、社会保障の分野に充てられる。

 政府関係者は計画に盛られた事業の95%を、アキノ政権が終わる2016年6月までに完了させたいと話す。数多くの復興事業を終了させるには、政府関係機関同士の円滑な調整と協力が不可欠だ。しかし、被災地から報じられるニュースを見ていると、どうやら先行きは思わしくないようだ。

 ラクソン顧問は以前、名指しを避けながらも、政府関係者の一部に復興を妨げる勢力があると発言したことがある。同顧問は後に「状況は改善した」とこの発言を訂正したのだが、ロハス内務自治長官も地方自治体への予算支出が滞っている問題を指摘した。

 公共事業道路省が管轄する事業で、被災者向け仮設住宅の建設費が水増しされた疑惑が浮上したこともあるため、国民は復興予算の使途を注視している。賢明な公共支出の確保と、復興事業の迅速な実施は両立させなければならない。その上で、被災地の防災力を向上させることも実現しなければならない。

 被災者からは復興事業の遅れに対する不満の声が上がっている。特に、台風襲来で家屋を失った被災者への住宅再建事業は批判の的になっている。国としての復興計画が承認され、予算支出が可能になったことで、復興事業を加速させなければならない。(10月30日・スター)

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