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10月13日のまにら新聞から

政府の無策に失望 首都圏の交通問題

[ 741字|2014.10.13|社会 (society)|新聞論調 ]

 最近、少し雨が降っただけで首都圏の路上は洪水に見舞われ、大渋滞が発生している。地獄のようなマニラの交通渋滞は毎日、20億ペソの経済損失を生み出している。つまりむだに使った燃料や商品配送の遅れ、就業機会の損失を生んでいるのだ。しかし、この試算には首都圏における生活の質の劣化は含まれていない。人々は夜明け前に起きて出勤し、夜中に帰宅せざるを得ない。眠る時間もなければ家族の絆(きずな)を育む時間もない。何より人々の肉体的、精神的な健康状態に悪影響を与えている。

 通勤電車に乗るためには2時間も行列を作り、雨が降ると冠水した路上で夜中までバスやタクシーを探す。車がある人も移動にかかる時間が読めない。この都市における移動は、住民にとって残酷で異常な刑罰となってしまった。しかし、状況をさらに耐えられないものにしているのは、われわれの政府がそのことを知りながら、対策の緊急性を感じていないことなのだ。

 日本の国際協力機構(JICA)は、首都圏における交通手段の構築に向けた事業可能性調査を実施し、われわれが必要とするものを正確に提示した。137キロの幹線道路の拡張、78キロの新しい高速道の建設、全長220キロ以上の地下鉄を含む鉄道網構築が提言されていた。いずれも必要なインフラ整備と思われるが、運輸通信省はこの調査結果を検討する姿勢を示しただけである。官僚主義が迅速な政策決定を妨げている。JICAの提言は次世代のためではなく、われわれが過去に実施すべきものだったのである。

 首都圏鉄道3号線は予備の修理用レールが不足、運行中止に追い込まれるかもしれない。3号線の運行不具合には汚職も関与している可能性が強まっていることは残念である。(9日・スター、アレックス・マグノ氏)

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