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8月18日のまにら新聞から

大量輸送の拡充を MRT車両事故

[ 705字|2014.8.18|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏パサイ市タフト駅に向かっていた首都圏鉄道(MRT)3号線の車両が13日、線路の終端に設置された車両止めを破壊してそのまま突っ込んだ事故で、運輸担当の役人たちは運転士らのことを責め立てている。

 原因は何であれ、36人ものけが人を出し、首都圏の主要道路であるエドサ通りの大渋滞を引き起こしたこの事故は、首都圏における大量輸送サービスの不備を露呈させた。

 従来の鉄道サービスの拡充は、違憲判決が出たことで論争にもなっている支出促進計画(DAP)を適用したとしても、決して迅速な対応とは言えないだろう。鉄道の拡充とメンテナンス改善のための計画は、3千万ドルにも及ぶ汚職疑惑によって足止めされてしまっている。

 汚職疑惑で前に免職となった首都圏鉄道公社(MRTA)のビタンコル元総裁に関する司法省の報告が、なぜアキノ大統領による処分を求めたのかは、明らかではない。また、ビタンコル元総裁とMRTの車両メンテナンス契約をめぐっては、行政監察院も調査を進めている。

 鉄道システムの改善は、汚職疑惑が発覚する前にすでに要求されていたことだ。マルコス政権期に始まった鉄道サービス事業は渋滞を避け、安価で早く目的地に到着できることから、公共交通機関のうち最も人気の高いツールになった。利用者は首都圏の渋滞を避けるためには喜んで電車にすし詰めになるだろう。

 システムがしっかりと拡充されるなら、自家用車を持つ多くの人も、車を自宅や駅の近くに置いて鉄道を利用するようになるだろう。鉄道は、首都圏の交通渋滞を解消する「答え」だ。事故は鉄道サービスを拡充するため、政府に拍車をかけることになる。(15日・スター)

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