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7月14日のまにら新聞から

子供たちの通学支援を 地方教育普及問題

[ 726字|2014.7.14|社会 (society)|新聞論調 ]

 地方の子供たちが公立学校で勉強するためにどれだけ遠い道のりを通っているのだろうか。リサール州ロドリゲス町のある村では、農民の子供達がゴム製の浮き輪を使って川を渡り、さらに数時間かけて歩いて毎日、小学校まで通っている。ラグナ州ロスバニョス町のバゴンシラン村では、子供たちが2時間の山道を徒歩で通っているという。自分たちの住む場所の近くに学校があれば、どれだけ楽に通えるだろうか。しかし、たとえ近くに学校ができたとしても、地方に赴任できる教師の数が限られているのも現状だ。

 教育省を含めた政府機関も努力している。ブラカン州のある村では、河川を渡る手段がこれまで「モンキーブリッジ」と呼ばれる粗末なつり橋で危険だったが、公共事業道路省や地元自治体の協力できちんとした橋が建設され、子供たちが安全に登校することができるようになった。

 非政府組織も支援を行っている。バタアン州にあるバヤンバヤナン村では、これまで山岳先住民のアエタ族の子供たちが実に14キロの道のりを通って小学校で勉強していた。地元の会計士の女性が呼び掛けて、貧困層向けに集合住宅地の建設支援を実施している非政府組織「バハイカリンガ」が、小学校近くに子供たちの寮を建設した。ロータリークラブの支援も得て多くの非営利団体がアエタの子供たちの通学支援に乗り出している。

 海外機関も支援の手を差し伸べている。オランダの金融機関、ING銀行はサンバレス州ボトラン町の高校生560人に通学用の自転車を寄付した。山道でも使えるがんじょうな作りで週末には家族も商売などで使える。子供たちに教育を受けさせるのは貧困や無知の連鎖を断ち切るためにも重要であり、大きな挑戦だ。(13日・インクワイアラー)

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