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7月7日のまにら新聞から

企業が直接行動を 食料品高騰問題

[ 699字|2014.7.7|社会 (society)|新聞論調 ]

 公共市場でニンニクが1キロ300ペソ近くまで高騰していると、消費者が騒ぎ出したことがすべての始まりだった。数日後、コメ、砂糖、鶏肉、ショウガなど他の食料品にも値上がりが波及。1日からは業者の要請を貿易産業省が承認した形で牛乳の価格も8%上昇した。

 アキノ大統領は当初、コメの価格上昇は一部の高級米だけで、消費者への影響は低いと過小評価していた。ところが最終的には、値上がりの要因になっているとみられる悪徳業者の取り締まり強化を、貿易産業、農務両省に指示するまで追い込まれた。消費者の不満解消策として、政府は農務省を通してニンニクや基礎食品の直接市場供給を実施している。

 確実だが実施の難しい方法の一つは、労働者の賃金を引き上げて購買力を高めることだ。国内最大の労働組合、フィリピン労働組合会議(TUCP)は、問題に敏感に反応し、棚上げされている下院法案第254号の早急な可決を呼び掛けた。法案は賃金を全国一律125ペソ引き上げるよう定めた内容だ。

 もし立法による賃金引き上げが本当に難しいのなら、民間の雇用主が率先して労働者の賃金を引き上げるべきだろう。最近、家具販売大手のイケア(本社・スウェーデン)が、米国法人での平均賃金を2015年から17%引き上げると発表した。従業員の必要最低限の生活費保障を考慮した引き上げで、最低賃金引き上げに関する米政府の結論を待たずに決断された。

 比の民間企業、特に成長産業は、イケアの決定を参考にしてはどうだろうか。企業は政府の指示を待たず、自らの社会的責任や労働者への配慮を基にして行動を決定することができるはずだ。(1日・インクワイアラー)

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