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6月30日のまにら新聞から

論理と心理の違い 集団的自衛権の支持

[ 725字|2014.6.30|社会 (society)|新聞論調 ]

 1992年6月、ラモス大統領は就任直前、アジアにおける日本の自衛隊の役割について慎重な姿勢を示した。これとは対照的だが、訪日したアキノ大統領は、憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使実現を目指す安倍政権を支持する発言をした。

 92年から2014年までの22年間に一体何が起きたのか。一言で言えば、西フィリピン海(南シナ海)の南沙諸島で実効支配を拡大し続ける中国の存在だ。隣国への配慮を欠いたまま、国粋主義者が身勝手に振る舞っているかのようである。

 中国外務省の報道官は、域内の緊張を高める要因は比政府にあると指摘する。「関係国は緊張を高めるより、中国への歩み寄りに努め、忠誠心を示すべきだ」

 マビニ礁の陸地拡張や中国船のベトナム船衝突は、中国政府による偽善的行動以外のなにものでもなく、2002年に東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国が採択した「南シナ海行動宣言」に忠実であるとは言い難い。

 米国の安全保障の傘への過度な依存は、比のような米国の元植民地にとっては、「未成熟」という点で問題だ。 

 比にとって、日本やオーストラリアのような親密国と防衛関係を強化するという観点では、日本の集団的自衛権行使を支持したアキノ大統領の発言は、理にかなっている。 

 一方、第二次世界大戦中に侵略されたという歴史的事実を問題視する声もあるだろう。しかしながら、戦後、比日両国の関係は信頼とたゆまない支援によって強固になった。

 論理的な見解と心理的な問題は別である。たとえば、元従軍慰安婦への責任を果たすため、安倍政権が一歩を踏み出すのであれば、大半の比国民は大統領の今回の見解には賛同を示すのではないか。(27日・インクワイアラー)

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