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4月11日のまにら新聞から

コロナと武器のない戦争 大統領の苦悩

[ 640字|2020.4.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 新型コロナウイルスとの戦いは、WWII(第二次世界大戦)ならぬWWV(世界ウイルス戦争)と言ってもいいだろう。ドゥテルテ大統領はこの戦いを「戦争よりひどい」と6日深夜の会見で口にした。また、あの神への不敬と冒涜がお得意だった大統領が、神の加護と助けを求めていたのを見ると不安になる。

 会見で大統領はつらい心中を吐露した。防疫強化措置で人々が苦しみ、飢える家族がいると思うとつらく、夜中に目覚めては眠れなくなるという。さらに、影響を受けた市民や業界には、どうやって支援の財源を捻出すればいいかわからないとも述べた。会見の終わりには、防疫強化措置を2週間延長する見通しを申し訳なさそうに語った。恐れることはないと述べていた防疫強化措置前とは大きな違いだ。

 大統領に「盗んででも借金してでもコロナ対策の金をなんとかしろ」と言われたドミンゲス財務相も眠れぬ日々を過ごしているに違いない。経済活動が停止し、あらゆる税が政府に入ってこないままだ。世界中が感染拡大に苦しむなか、国際支援を受けるのも困難だ。

 政府は何とか初動の遅れを取り戻そうとしているが、全ての人に支援を行き渡らせるのが難しいのが実情だ。あの会見で良かった点は、政府の対策に従い、一丸となってこの苦難を終わらせなければ、と市民に身に染みて感じさせたところだ。私たちは皆、さらなる苦い薬を飲まなくてはならない。その薬がこの国を元どおりにしてくれることを願おうではないか。(8日・スター、アナマリー・パミントゥアン)

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