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11月1日のまにら新聞から

年金への厳しい評価に耳を傾けよ 二つの調査にみる比社会の明暗

[ 793字|2019.11.1|社会|新聞論調 ]

 フィリピンを他国と比較した最近の二つの調査がある。一つ目は良い知らせだ。先週発表された世界銀行による最新版ビジネス環境ランキングで、比は190の国と地域のなかで、昨年の124位から95位へと一気にランクを上げた。改善度で見れば世界トップ3に入る。建築許可の取得、少数投資家の保護などに関する規制改革の実施が功を奏した。

 しかし、オーストラリアの州が支援した調査「メルボルン・マーサー・グローバル年金指数(MMGPI)」では、比の年金制度は中・先進国では最悪レベルであることが明らかになった。比の退職後収入指標は100に対し43・7で、対象となった37カ国中34位、大きな欠点もあるDランクとされた。同調査が比を対象にするのは初めてで、民間の労働者や自営業者の年金や各種給付金を取り扱う社会保険機構(SSS)への評価に基づき結果が出された。

 指標を項目別に見ると、ガバナンスや給付対象者の保護、事業コストなどに関わる「一体性」で比は最低。貧困層への利益、制度設計の効率性を示す「妥当性」でワースト3位である。制度の「持続可能性」は15位だが、これは給付額が低いからだろう。

 予想通り、大統領府は最初の調査をうまく利用している。アンダナー広報室長は、比の評価アップは特筆すべき進歩で、ドゥテルテ大統領が非能率的な「お役所仕事」をカットしたからだと述べている。

 対照的に、政権内では?SSSさえも?世界最悪の年金制度という不名誉な勲章についてコメントする者はいない。革新系政党バヤン・ムナのサラテ下院議員が、政府はMMGPIの調査結果を受け入れ、年金増額を求める二つの法案に向き合い、高齢者の悲惨な境遇を改善するよう目覚めるべきだと述べたが、全く正しいと言うほかない。しかし、この沈黙が示すのは、大統領府とSSSが無策に甘んじているということだろう。(29日・スタンダード)

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