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1月11日のまにら新聞から

政府は汚職当事者の訴追も進めよ MRT3号線新規保守事業

[ 782字|2019.1.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏鉄道(MRT)3号線を設計して建設し、その後、保守も請け負ってきた日本の住友商事と三菱重工業との契約が2012年に打ち切られた後、保守事業は同鉄道の経営陣や当時の与党の自由党幹部とつながりの深い企業が受注した。そして、この有力なコネを持つギャングたちは同事業を食い物にした。それは刑事罰を受けるべき犯罪行為だとも言える。

 それゆえ、MRT3号線自体が汚職とはどのようなものであるかを思い出させる、国家の恥さらしの典型事業となった。保守がないがしろにされた同線では車両の座席が燃え、ドアが故障し、天井から水漏れし、よく電力供給もストップした。車両が途中でストップし乗客たちが線路を徒歩で移動することも見られるようになった。数週間にわたり問題なく操業できた場合にはそれがニュースになるほどだった。そうしてようやく、住友商事と三菱重工が再び戻ってくることになった。

 運輸省が両社に対して72台の車両の修繕を含む3年間の再整備事業にゴーサインを出したのだ。日本の大企業2社は車両修繕だけなく、電力供給や通信設備、信号システムなどの整備も行うという。また、アキノ政権が購入した中国製の車両48台の車両整備も行う可能性があるという。

 軽量高架鉄道事業はよく利用されているが、実際は乗客の需要を十分にさばき切れていない。需要に合わせて事業を増強するどころか、サービスが悪化してきたのが実情だ。通勤客たちも状況が劇的に変わるのを待ち続けてきた。

 MRT3号線が再整備に入る間、比政府の検察官たちはこの3号線事業にまつわる汚職疑惑について解決するよう迅速な訴追手続きをしなければならない。この3号線保守事業を巡る汚職疑惑が解決すれば、災害級とも言えるこの3号線の運行状況を引き起こした元凶となる犯罪行為を再び繰り返さないことにつながるからだ。(8日・スター)

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