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12月2日のまにら新聞から

「トクハン」遺族の救済 デビット司教に学ぶ

[ 649字|2018.12.2|社会|新聞論調 ]

 貧困層を標的にしたドゥテルテ大統領の麻薬取り締まり政策に対し、真正面から反対を唱えてきた聖職者の1人は、カロオカン市のパブロ・バージリオ・デビット司教だろう。司教が受け持つ教区は、警察が、容疑者の超法規的殺人を合理化するため、「巻き添え」として処理する殺害が頻発し、麻薬使用者や売人宅と思われる家をノックして回る「トクハン」のゼロ地点とも呼ばれる。

 大統領は司教を「人々からの果物や食べ物の寄付で個人的な必要を満たしている」と批判、「司教はかつて麻薬の使用者だった」などと中傷とも言える発言をエスカレートさせている。非人道的な政策に対する司教の物言いが、気に入らないのだろう。

 司教は10月、アテネオ大学で、超法規的殺害で家族が犠牲になった遺族を励まし、救済するための「12カ条」を紹介した。主な内容は(1)遺族に共に悲しむ場を提供し、地域サポートを実感してもらう(2)病院や医者、葬儀場による搾取から救う(3)打ち捨てられた被害者の名前と顔を取り戻す(4)被害者の命の重みを語って聞かせる機会を提供する(5)カウンセラーや心の健康の専門家を仲介する(6)遺族が法的な措置に訴える時に備え、体験を記録し、脅しの可能性に対する安全な場を提供する──などだ。司教は最後に、遺族が、生活の変化を積極的に受け入れるよう支援する必要があると結んだ。

 司教は暴力に満ちたこの世界に「優しさと尊厳を取り戻す」最良の方法を提起したと感じた。(11月28日・インクワイアラー、リナ・ヒメネス・デビッド)

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