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6月11日のまにら新聞から

引き上げ気運形成を 相次ぐOFWの犠牲

[ 633字|2018.6.11|社会|新聞論調 ]

 フィリピン経済は「英雄」と称えられる比人海外就労(OFW)の貢献によって国力を維持している。一方で、彼らが国外で犠牲になる事件は数多い。

 スロバキアの首都で5月26日、比人男性のヘンリー・ジョン・アコルダさん(36)が男2人に乱暴されていた女性2人を庇い、死に至る事件が発生した。多国籍企業勤務のアコルダさんは路上で女性を守る際に男に頭を蹴られ重傷を負い緊急搬送され、30日に病院で死亡が確認された。

 奇しくも彼が亡くなった日は6月7日の「海外就労者の日」の1週間前だった。

 この日は1995年に海外にいる比人への社会福祉を目的にした海外就労法が可決された日で、海外就労を促進する法の制定日であった。

 アコルダさんの勇気ある行動と犠牲は「英雄」として称えられているがこれは珍しいケースで、そういう形でなくとも犠牲になる比人は後を絶たない。

 最近では2月、クウェートで比人女性ジョアンナ・デマフェリスさん(29)が殺害され冷凍庫に1年以上遺棄されていた事件が発覚し、2国間の外交問題にも発展した。

 アコルダさんのような直接的英雄行為がなくても、比では長年、OFWは外貨を稼ぐゆえに英雄のように扱われてきた。

 しかし、海外雇用頼みの労働政策を推進し続けることはアコルダさんやデマフェリスさんのような悲劇的な死も生む。

 この犠牲の意味を考えつつ、国全体で海外就労する比人の多くを引き上げさせる長期的気運を作りあげるべきだ。(9日・スター)

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