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10月29日のまにら新聞から

EUの懸念に目を向けよ 残虐な麻薬戦争

[ 643字|2017.10.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 世界はますます相互に連携し、資本や情報、人の流れは国と地域を超えている。法と倫理を基礎としながら、憎しみや意見の相違を減らそうとしている。

 フィリピンの為政者はこれを理解し、残虐な麻薬戦争に対する米国と欧州連合(EU)の懸念に目を向けるべきだ。国連やEUはやむなく懸念を表明しているのであって、比の内政に干渉しているわけではない。

 比は国連憲章と国連人権理事会の署名国だ。EUとは人権と司法を含む広い領域で協力関係にある。法的枠組みの下、比の主権侵害を主張するのは難しい。

 最近のEUに対する政治的発言は控えめに言ってもわれわれの権威を低めた。EUは海外比人送金元で2位であり、海外投資元1位である。今年の前半だけでも、新たに承認された投資のうち約3分の1がEUからのものだ。輸出先の市場では2番目に大きい。

 欧州の理想は自身の暴力的な過去を経て築き上げられた。欧州は何世紀にもわたって紛争の混沌や戦争状態にあった。欧州連合の父たちは悲劇の過去から学び、人権に対する積極的かつ懸命な取り組みがあってこそ長期的な平和と繁栄が可能であると信じた。

 移民問題への対応など欧州人の高潔な美徳が時に偽善を呼び起こすのは事実だ。しかし、われわれの統治制度の欠陥を考えれば、交渉、外交、商業的連携を重視するEU主流の政治文化の吸収を目指すべきだ。その文化とは、軍事力の行使や威嚇を拒否、自制ある行動規範を持ち、対立ではなく妥協の可能性を信じる文化だ。(26日・インクワイアラー)

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