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2月1日のまにら新聞から

投資けん引型の成長を 原油価格の下落

[ 683字|2016.2.1|社会 (society)|新聞論調 ]

 原油価格の下落のニュースには、良い面と悪い面がある。良いニュースは明白だ。車の燃料代を安く抑えられる。先日、ジプニー初乗り運賃が引き下げられた。タクシー運賃も下がるかもしれない。

 しかし原油は超安値なのだ。1970年代、第四次中東戦争を背景に産油国がカルテルを結び、原油は高騰した。しかし、80年代に累積債務問題が起きると景気は低迷し、原油は下落した。90年代初め、ソ連が崩壊し、冷戦は終わった。ソ連が崩壊したのは、エネルギー輸出に依存していたためだ。

 新技術によりシェールガスの獲得が可能になった今、世界は燃料の過剰供給に直面している。原油1バレルの価格は、かつての100ドルを超える高値から、今や30ドルを切るまで下落した。サウジアラビアなど産油国の経済は縮小し、フィリピン人のような出稼ぎ労働者は真っ先に解雇されるだろう。

 フィリピンは産油国の労働需要に対応してきた国の一つだ。今日、比人海外就労者(OFW)約1千万人が母国に何十億ドルの規模の送金をしている。私たちは海外送金に頼り、輸出競争力の改善や農業の近代化を怠った。

 オイルマネー時代の終焉は、私たちに悪影響を及ぼすだろう。投資けん引型の成長への切り替えが早急に必要だ。

 国内の失業率が高い中で、どうしたら帰国する海外就労者を受け入れられるか。海外からの送金に依存せず、どうすれば消費主導の経済を維持できるか。数少ない輸出品しかないのに、どうやって輸入品への支払いをするのか。これらは、オイルマネーの時代が終わりに向かう今日の大きな課題だ。(28日・スター、アレックス・マグノ氏)

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