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10月5日のまにら新聞から

偽善はびこる政治 女性ダンサー問題

[ 715字|2015.10.5|社会 (society)|新聞論調 ]

 現職議員の誕生パーティーで披露された女性ダンサーによる余興が物議を醸している。パーティーは「まっすぐな道」政策を掲げる政権与党、自由党の入党歓迎会を兼ねていた。

 不愉快な画像が新聞、テレビやソーシャルメディアで暴露され、自由党の関係者は独自の説明を繰り返した。首都圏開発局(MMDA)のトレンティーノ局長は、自身が(ダンサーを)手配したのではないと強く否定した。

 同局長は不正をはたらく交通整理員を撮影し、動画を投稿することは「盗聴防止法違反に当たる」とも主張した。

 こんな人物だが、国民を代表する上院議員になりたいようだ。ゴンザレス下院議員は厚かましくも、国会で調査が始まれば「もう一度余興が見られる」と冗談を飛ばした。

 ロハス前内務自治長官はその場にいなかったことを示唆。ベルモンテ下院議長は遺憾の意を表明し、ドリロン上院議長は「下品な行為は許さない」と発言した。大統領府は「政府は女性の尊厳を損なう行為は許さない」との声明を発表した。

 しかし、このような自由党員の発言はごまかしに過ぎない。女性エンターテイナーによる余興は政治家の集会ではすっかり定番となっている。自由党だけでなく、他の政党も変わりはない。良き統治を目指すと主張している集団も、女性の窮状を救うと訴えている者も、実は好色なのだ。

 フィリピンの政治家は政党を都合良く利用するだけで、忠誠心は持っていない。政党とは物事がうまく運ばない時に責任逃れをするものだ。

 問題は、女性を物として扱ったことだ。礼節の問題でもある。我が国の政治基盤がどれだけむしばまれ、偽善という重病にかかっているかを表している。 (3日・スタンダードトゥデー)

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