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7月13日のまにら新聞から

終わりなき汚職 公共事業・運輸通信両省

[ 739字|2015.7.13|社会 (society)|新聞論調 ]

 公共事業道路省と運輸通信省は、こと公共インフラ事業に関しては、うそと汚職にまみれた政府機関だ。税収について国税局と関税局が共謀して汚職しているのと同じだ。これらの政府機関では普段呼吸する際の空気と同じく汚職が自然に存在しているといえる。

 公共事業道路省はアキノ大統領のお気に入りとして知られているが、そこでは汚職も日常化している。その「標準手続き」によると、インフラ事業を推薦する地域技官事務所が事業費の5%をコミッションとして得る一方、事業を承認する同省入札発注委員会が2%のコミッション支払いを受けるのが慣例という。1億ペソのインフラ事業の場合、700万ペソが同省の一部幹部に流れ込む計算だが、もし20億ペソの事業の場合だと1億4千万ペソが賄賂として消えることになる。同省の予算総額は2014年には2千億ペソだったが、15年には3千億ペソに引き上げられ、16年の概算要求ではアキノ政権が6千億ペソまで引き上げていることは驚きである。16年はアキノ政権の任期も半年だけで、しかも統一選があるため、3〜5月は全国でインフラ事業の実施が禁止される。こんな時期に該当するインフラ予算が大幅に引き上げられている。

 運輸通信省もしかりである。行政監察院は最近、首都圏鉄道(MRT)3号線の保守事業入札をめぐり同省幹部のビタンコル前MRT公社総裁らの刑事告訴を勧告した。しかし司法省国家捜査局による入札疑惑の調査結果に対し大統領府が承認を長期間与えなかったほか、発注契約書に署名したアバヤ前長官やロティリア次官らは告訴の対象になっていない。同次官は陸運局の新車両ナンバープレート事業の汚職疑惑にも関与している。両省の汚職はいつまで続くのか。(11日・タイムズ、リック・ラモス氏)

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