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3月20日のまにら新聞から

政府ができることの範囲は コロナウイルスと憲法

[ 694字|2020.3.20|社会 (society)|新聞論調 ]

 性急な都市封鎖で市民への重すぎる負担が見えてきた。

 例えば日雇いや1日ごとの売り上げで何とか生活している人々はどうやって生き延びればいいのか? 食品をストックしろと言われても、そんな金も冷蔵庫も持たない人もいるのだ。

 それに、外出を許されるか、許されないかの線引きも難しい。医療関係者はもちろん出勤を許されるべきだが、死にゆく人に寄り添おうとする神父は? 葬儀に参列する人は? コロナ危機が落ち着くまで葬儀を延期するのか?

 問題は、この政策の実施者たち自身が、何をなすべきかよくわかっていないことだ。

 覚えておくべきは、こうした状況下で、国家の警察権力は正当化されるが、その権力は無制限ではなく、移動の自由などを含む憲法が保障する権利を無視することは許されない。講じる対策が違法・違憲であってはならず、令状なしの逮捕や違法な捜査などは認められない。また、対策が正当性を持つには、それによる結果との釣り合いが必要だ。

 いくつか注意を払っておくべき憲法の条項もある。第6条第23項は、国会が承認した場合に限り、宣言された国の政策の実行に必要な権限を大統領に与えることを認めている。第12条第17項は、国家の緊急時に、国が国会を通して、民間が所有する公益事業の運営を掌握することを認めている。

 ドゥテルテ大統領は数日前に、大手の食品会社に対し、低所得者に食品が行き渡るよう寛大な対策を求めていた。

 しかし政府は民間にこびへつらわずとも、状況次第では憲法によって強制力を伴う積極的な対策を取ることが認められているのだ。(18日・マニラタイムズ、ランヒーリョ・アキノ)

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