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5月11日のまにら新聞から

ハローワークの導入強化を 雇用創出問題の解決に向け

[ 791字|2018.5.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 世論調査機関パルス・アジアが最近実施した意識調査によると、国民の最大の関心事は賃金引き上げで、次いでインフレ抑制、貧困削減、雇用創出の順に関心が高かった。雇用創出の必要性については、ドゥテルテ大統領がクウェートで働く26万人の比人海外就労者(OFW)の愛国心に訴えて、帰国を促すスピーチを行って以来、より緊急のものとなっている。OFWへの虐待事件を受けて比とクウェート政府の外交関係が悪化している今、大統領が国内での就労を訴える姿勢も理解できる。

 しかし、国内の雇用創出には問題が山積している。SWS調査によると今年3月時点での推定失業者数は1090万人で、2017年12月期に比べて8・2%増加。推定失業率も23・9%と16年12月に記録した25・1%以来、現政権下で2番目に悪い数字だ。今年から義務教育12年制を修了した卒業生が新たに労働人口に加わるため、失業者数はさらに拡大する。

 クウェートのOFWが国内で働くためには、彼らの持つ技能と国内で必要とされる熟練技能と合わないことも問題となってくる。国内経営者らのビジネス見通しも2年ぶりの低水準に落ち込んでいるとの調査結果もある。今年4月のインフレ率も4・5%と過去5年間で最高水準を記録。賃金を引き上げれば、企業経営が悪化し、倒産が増えさらに失業率を押し上げ、貧困が拡大するという悪循環に陥るかもしれない。

 現政権はまず雇用創出を強化することだ。そのためには製造業と農業へのてこ入れが重要だ。次いでハローワークの導入をさらに進めることだ。現在、一部の地方自治体に限られているこの機関をすべての町や市、そして州政府に設置し、労働雇用省とも提携して国を巻き込んだモニタリングと技能開発支援を組み合わせるのだ。そうすれば雇用創出につながり、ひいては貧困削減や犯罪の減少に貢献する。(8日・ブレティン、ジョーイ・リナ)

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