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5月23日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 565字|2016.5.23|社会|ハロハロ ]

 その島の存在を知ったのは今から10年ほど前。出身県であることからも一度は訪れてみたかった。別名「売春島」と呼ばれる、三重県志摩市の的矢湾に浮かぶ渡鹿野島(わたかのじま)である。つい先月その機会を得たのだが、伊勢志摩サミットによる警備強化の影響で、島に住むタイ人娼婦たちは島外へ「一時避難」してもぬけの殻だった。

◇ 

 渡鹿野島の歴史は古く、江戸時代にさかのぼる。大阪から江戸への廻船(かいせん)が停泊するための「風待ち港」と称され、悪天候を避ける寄港地として重宝されてきた。ところが船主たちは休息の際、船内で女遊びをするようになり、やがて島内に貸座敷ができた。そこへ外国人が流入するようになったのは昭和後期。一時はフィリピン人女性約50人が住んでいたというから、300人という島の人口規模を考えれば驚くほどの外国人比率である。

 島はサミットの会場から北東に約8キロに位置する。つまり、各国首脳が一堂に会する場所の目と鼻の先で国際人身売買が行われているということだ。サミット開催に色めき立つ志摩市役所に行って問い合わせると「島の実情は把握していない」の一点張り。ローマ法王が昨年1月に来比した際、比政府によって貧困層が一時的に「移送」させられた騒動を思い出した。臭い物に蓋(ふた)をするのはどこも同じである。(竹)

ハロハロ