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3月21日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 684字|2016.3.21|社会 (society)|ハロハロ ]

 フィリピン滞在を始めて2カ月余、自宅近くのモール地下の食料品売り場へ買い出しに出掛けた折のこと。「シニア」と書かれたカウンターだけ誰もいなかったので、手押し車から品物を取り出し並べた。やや年増のカウンター嬢の話では、60歳以上の証しとなる身分証明証のようなものがあれば、買った品物の合計額の20%が割引きになるのだという。たまたま、何も身分を証明するものを持ち合わせていなかった。

 下手な冗談を交えながら、証明する書類は持たずにきたが、れっきとしたシニアであることを身振り手振りで説明しているうちに、カウンター嬢が大声で笑い出した。もしやと思い、自宅に戻って伝票を確かめたら、何と割引きがなされているではないか。日本の「デパ地下」ではあり得ないことと、えらく感激した。この国の年寄りをいたわる女性のやさしさや、「笑わせれば勝ち」との風潮があることを、あらためて知らされた思いだった。

 職場で「教授」と呼ばれているフィリピン通の同僚に聞いたら、シニア割引きは、かなり以前から実施されているとか。「ただ外国人には原則として適用がないはず。市役所が発行するシニア市民IDをもらえば別だが││」とも言われた。とすれば、今回は何も証明するものを持ち合わせていなかったのが、かえって幸いしたことになる。まさか外国人と見なされず、比人と見られたのだろうか。そんなはずはない。いずれにしても次にモールへ出掛ける時も何も持たずに行こう。そのかわり、いくつか別の冗談を仕込んでおかねばなるまい。年増のカウンター嬢向けとか、若手向きとかに使い分けができるように。(邦)

ハロハロ