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1月18日のまにら新聞から

今年予算に違憲審査請求 議会予備費4500億ペソ増額で

[ 975字|2024.1.18|社会 (society) ]

野党自由党のラグマン党首が2024年予算で増額された予備費を違憲として最高裁に申し立て

 2024年予算の予備費に当たる「プログラム外予算」が議会によって当初案の2819億ペソから7314億ペソに4495億ペソ増額されていた問題で、野党・自由党のラグマン党首(下院議員)らは17日までに、最高裁に対して違憲立法審査および増額分の無効宣言を求める申し立てを行ったことを発表した。

 憲法6条25項(1)は「政府運営のために大統領が提案した予算の割り当てを、議会が増額することはできない」と規定しており、ラグマン党首は、議会によって増額された予備費が同条項に抵触していると主張している。

 同党首はまた、今回の申し立てについて「両院協議会によって加えられた増加分の4495億ペソのみを対象としており、それ以外の政府事業を止めることは意図していない」と説明した。

 パガンダマン予算管理相は今月はじめ、「プログラム外予算」の性質について、「想定以上の収入があった場合に、優先プログラム・事業のために活用される財政プログラム外の予備費であり、議会のためにも提案され議会から承認される予算だ」と説明していた。同予算を巡っては、議員の利益誘導に用いられているのではとの疑惑も指摘されていた。

 ▽議員の反発

 ビコール地方の振興を推進する政党リスト「アコビコール」のエリザルディ・コー下院議員は17日に声明を発表。「ラグマン氏は24年予算を承認した昨年の両院協議会の委員であり、また15年間下院歳出委員長を務めていたのに、これまでプログラム外予算に疑問を呈したことはなかった。違憲だと主張し始めたのは、今年に入って両院協議会の委員から外されたからではないのか」と批判した。

 それに対しラグマン氏は「個人攻撃だ」と反発。「コー議員は、両院協議会の24年予算すり合わせ案が上下両院で説明なく承認されたことも、プログラム外予算に党派的な事業が含まれている可能性も否定できていない」とした。

 さらに「議会が予算増額の禁止規定は(予算裏付けのある)プログラム内の支出にのみ適用されるという誤った憲法解釈が慣行になっていることも、申し立ての中で言及している」と強調。「問題のある予算支出が過去に行われてきたことが、(予備費増額の)正当性の証明にならないことは明白。間違っていることは、最後には正されなければならない」と主張した。(竹下友章)

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