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1月26日のまにら新聞から

路上「格安」店に客続々 農家から直接仕入れて販売

[ 1160字|2023.1.26|社会 (society) ]

マカティ市カラヤアン通り沿いの路上でタマネギを安値で販売、店主に話を聞いた

路上でタマネギを売るエルベラ・ボンダドさん(右から2人目)=25日正午過ぎ、首都圏マカティ市で岡田薫撮影

 農務省は25日の価格監視データにおいて、首都圏での赤タマネギの値段が1キロあたり240~340ペソになっていると報告した。小売りベースで同480ペソ以上で売られていた昨年12月時点と比べ、かなり落ち着いてきたが、モール内のスーパーや地区の市場ではいまださらに高値で売られているところが多い。そんな中、マカティ市のカラヤアン通りとパソン・ティラッド通りの交差する一角の露店で、キロ200ペソの安値で売られている光景が目に止まった。

 タマネギ売りは、マカティ市で生まれ育ち、30年間近く野菜などを販売してきたエルベラ・ボンダドさん(48)。小学生の子ども2人がおり、普段は夫と2人で店を営んでいる。通りかかった25日には、息子と2人で店番をしていた。

 1キロ200ペソでタマネギを売っている理由として、「パンガシナン州の知り合いの農家から直接仕入れているから」とのこと。「親友からキロ120~140ペソで仕入れ、移動手段には自家用車を使っている」という。ガソリン代や交通費がやや高くついても、一度の往復で数百キロを運び、店頭での卸売りや小売りで元が取れている。かたわらに積まれたタマネギの袋の山を差しながら「今ここに約200キロあるが、朝5時から夜10時まで売って、だいたい2日間で無くなる」と語った。

 ▽借金して買う上客も

 そこで約30キロのタマネギが詰まった大袋1つ(6千ペソ)を買っていたマニラ市で青果店を営む母親と息子は、このタマネギを「店ではキロ250ペソで売るつもり」と明かした。ただ購入費用は「高利貸しから工面した」と笑った。

 ダバオ地域の山間部出身の親子は、仕事を探しながらボホール州、レイテ州、そして首都圏と移動し、2001年に念願だった青果店を開店した。それまで息子は各地の農家で作業に従事してきた。また、母親には長野県の野菜農家で3年半の研修を積んで昨年12月に帰国したばかりの別の息子もいる。

 息子のライアン・グラナダさん(34)によると、店ではタマネギ以外はすべてマニラ市のディビソリアで仕入れている。「毎日行くから分かるが、現在タマネギはディビソリアで250ペソで売られている」と熟知している様子。数日前には中国からも輸入タマネギがフィリピンに到着しており、値段の下降に貢献したとみられる。

 ただ、グラナダさんのマニラ市の居住地区など周辺市場では依然として高値で出回っていることから、「ここで仕入れ、店で250ペソで売れば、他よりも安いので人も集まる」と説明した。また、歩いてタマネギを買いにきたマニラ市で食堂を営むという男性は、約3キロ分を購入。ビニール袋一杯のタマネギを手に「料理に良い匂いを添えるので、タマネギは欠かせない」と喜んで帰って行った。(岡田薫)

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