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6月23日のまにら新聞から

「赤タグ」サイトへのアクセス遮断 大統領顧問の要請受け

[ 871字|2022.6.23|社会 (society) ]

比共産党、新人民軍、民族民主戦線関連のウェブサイトへのアクセスを遮断するよう命令

 国家通信委員会(NTC)は22日までに、インターネットプロバイダー各社に対し、当局によってフィリピン共産党(CPP)とその軍事部門である新人民軍(NPA)、その統一戦線である民族民主戦線(NDF)に関連付けられたウェブサイトへのアクセスを遮断するよう命じた。共産主義勢力との紛争を終わらせる国家タスクフォース(NTF-ELCAC)の副議長、エスペロン大統領顧問=国家公安担当=からの要請を受けて実施された。NTCのコルドバ委員長は、プロバイダー各社に5日以内の現状報告を求めている。CNNフィリピン電子版など各メディアが報じた。

 同大統領顧問の要請は6日付でNTCに提出、22日に公表された。遮断対象には、独立系ネットニュース「ブラトラト」のほか、先住民のための教育に取り組むNGO「セーブ・アワー・スクールズ・ネットワーク」(SOSN)、農業従事者組合連合(UMA)、キリスト教系NGO「フィリピン農村宣教師協会」(RMP)、漁民組合「パマラカヤ」などメディア・団体のウェブサイトが含まれた。

 エスペロン氏はNTCへの要請文書の中で、これらの団体が「テロリストと連携している」と断定。「インターネット上でプロパガンダと誤情報を用い、政府を中傷し、勧誘を行い、国内外から資金を集めている」としたが、具体的な証拠は提示していない。

 この動きに対し、オンライン独立メディアとして20年以上の歴史を持つブラトラトは声明を発表。「これはエスペロン氏の風聞に基づいた恣意的な措置であり、言論の自由に対する深刻な侵害。比の独立系メディアにとって危険な先例を作ることになる」とし、ジャーナリストと国民に対し「報道と情報を弾圧しようとする当局の試み」に共に立ち向かうよう呼びかけた。

 またパマラカヤは「西フィリピン海(南シナ海)で操業する比漁民の苦境を伝えるサイトまで弾圧しようとするエスペロン氏の『やけっぱちの行動』」と指摘。プラバイダー各社に対し「エスペロン氏のウソに同調し、言論の自由封殺の共犯者にならないよう」要請した。(竹下友章)

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