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7月18日のまにら新聞から

世界銀行報告を警鐘に 比教育の評価

[ 645字|2021.7.18|社会 (society)|新聞論調 ]

 世界銀行は今月初め、フィリピンの教育制度について評価する報告書を発表した。新型コロナ流行前のデータを基にした評価は、比の生徒の多くが「何を知るべきかを知らない」との見解を明らかにしていた。

 この評価に対し、比教育省は改善、改革された最新の点が反映されていない、と見直しを要求。世界銀行はこれに応じて、報告書をウェブサイトから削除した。この事態はわれわれ自身の教育の質への認識に大きな衝撃をもたらした。

 報告書では、学校内での暴力やいじめのほか、成長しようという意欲やコミュニケーションのための言語能力の低下、健康と栄養状態の悪さなど、生徒の質の低下が指摘されていた。もちろん比の教育制度は数十年来、こうした問題を抱え続けている。

 しかし、教育省も自覚して、校舎や設備などの改善に努め、生徒や親、教師、学校も自発的に対応して変わってきた。これは比人が教育を本当に大切にしていることの証しだ。技術的な問題が山積みの中で、教育省が迅速に方向転換してきたことも称賛に値する。

 コロナ禍で今、行われている遠隔授業は、本来あるべき対面授業からは程遠いものだ。コロナ流行後、1年目の教育の成果には感謝しているが、次年度も維持される遠隔授業の内容を精査すること、教師への支援を強化することは欠かせない。

 世界銀行の報告は警鐘としなければならない。教育省が多くの課題を抱えていることは認めるが、建設的な批判には寛容であるよう望む。(15日・スタンダード、ケソン州知事 ダニロ・スアレス)

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