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3月21日のまにら新聞から

警察の権力乱用を防げ カルバヨグ市長殺害

[ 655字|2021.3.21|社会 (society)|新聞論調 ]

 サマール州カルバヨグ市のロナルド・アキノ市長殺害事件に絡んで、カルバヨグ警察署のニール・モンタニョ警視補と警官9人が解任された。警察はアキノ市長が違法薬物取引に関与していなかったと認めた上で、市長は交戦の末に死亡したと主張している。

 3月12日には同市のフェルナンド・カラブリア情報局長が解任された。カルバヨグ地裁に対し、共産主義運動に関連した人物の弁護を引き受けた弁護士のリスト提供を求める手紙を出していたことが表面化したためだ。

 フィリピンでは2016年以降、全国で50人を超える弁護士が殺害されている。共産主義者の疑いがあるという理由だけで殺される事件も後を絶たない。

 カラブリア情報局長の裁判所への請求は不吉な関連性を思わせる。情報局長は手紙の電子署名は「自分のものではない」と否定しているが、国家警察のエレアサール長官代行は「言い逃れではないか」と疑っている。

 ルソン島南部のカラバルソン地域では、政府側から共産党の武装部門、新人民軍(NPA)のメンバーだとみられた人権活動家9人が警察の捜査で殺された。殺害した警官らは、銃や爆発物の不法所持容疑の捜査令状を携行していた。司法省は麻薬関連捜査で容疑者を殺害した多くの事件と同じように、行き過ぎた捜査への失望を表明した。

 カルバヨグ市の警官に対する処分は前向きな展開だった。しかし、多くの殺害事件の真相解明と説明責任はむろん、警察による権力の乱用や過剰な行使を今後はなくすという保証が今最も求められていることだ。(15日・スター)

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