まにら新聞ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
33度-23度
両替レート
1万円=P4,440
$100=P4,840

1月25日のまにら新聞から

コロナ変異種感染17人に 山岳州ボントックだけで12人

[ 866字|2021.1.25|社会 ]

 保健省は23日、新型コロナウイルスの英国型変異種の感染者が新たに16人判明したことを明らかにした。ケソン市在住でアラブ首長国連邦ドバイでのビジネス旅行から帰国した男性1人の感染が13日に判明していたが、これで国内の変異種感染者は一気に17人となった。24日付英字紙インクワイアラーなどが報じた。

 新たに判明した16人のうち5歳と10歳の子どもを含む12人は、ルソン島北部コルディリエラ地域のマウンテンプロビンス州の州都ボントック町で感染が判明した。

 同町の出身で英国に移住した一家らで、クリスマス休暇を同町で過ごすために昨年12月に比に一時帰国していた。入国時の検査では全員陰性だったが、その後、男性1人が体調不良を訴え、再検査したところ、コロナ感染が分かった。別の家族も次々と陽性が判明し、その後、変異種であることが確認された。

 残りの4人はレバノンから帰国した比人2人と、ルソン島北部ベンゲット州の在住者1人、ラグナ州カランバ市の在住者1人だった。ベンゲット州とラグナ州で感染が判明した2人には渡航歴がなく、感染経路は不明という。

 ベンゲット州の感染者はラトリニダッド町で隔離されており、隣接するバギオ市では検問所を設けて警官や看護師による警戒を強めている。

 オッシ・ボントック町長は変異種感染の判明を受けて、同町で1月末まで2週間のロックダウンを実施すると発表した。保健省コルディリエラ地域事務所によると、この一家はボントック町に12月14日から20日まで滞在し、サガダ町など近郊の町にも立ち寄っていたという。

 しかし、同事務所ではこの一家以外にはまだ変異種の感染が判明しておらず、市中感染が起きた可能性について「確実なことは言えない」としている。ボントック町での変異種感染者の判明を受けて、周辺の町や市ではボントック町への旅行を控えるよう住民らに通達を出している。

 カリンガ州の州都タブク市でも、エストラニェロ市長が1月24日から2月6日まで同市でロックダウンを実施すると発表した。(澤田公伸)

社会

転換期を多角的に議論 東京五輪フォーラム

[ 1343字|2021.3.7| ] 無料記事

【アテネオ大主催でオリンピックを多角的に議論するオンラインフォーラム】 首都圏ケソン市のアテネオ大日本研究学科が「スポーツする日本─転換期にある社会の表出」と題したオンライン国際フォーラムを4〜6日まで開いた。東京オリンピックを中心に五輪のあり方や社会の変遷などが多角的に議論された。  ▽コロナ禍と開催費増  パシフィック大政治と政府学部長のジュールズ・ボイコフ教授は、福島県を訪れて放射能がいまだに高く「復興から程遠い現実」を実感した。五輪について複数の著作がある同教授は、今回の東京五輪で日本国民の80%が開催の中止か延期を望んでいることについて、コロナ禍に伴う公衆衛生上の問題や開催費の大幅増などを反対の要因として挙げた。開催費は当初の73億ドルから260億ドルに増えた後、さらに延期で20〜60億ドルが上乗せとなると指摘した。  同教授は五輪に伴うジェントリフィケーション(下層居住地区の高級化)によって、16年のリオ五輪は7万7千人が住む場所を失い、08年の北京五輪では125万人が立ち退きを余儀なくされたことを紹介。開催国で監視カメラや顔認証システムの導入が進み、環境への配慮を取りつくろった「グリーンウォッシング」が横行することも問題だとした。  ▽反五輪の会  ドイツ日本研究所のゾニャ・ガンセフォルト研究員は、19年2月に東京・渋谷の交差点で東京五輪反対のメッセージを掲げた教育関係者や芸術家ら数十人のグループ「反五輪の会」に焦点を当て、日本のオリンピック・アクティビスム(抗議行動)について報告。抗議行動は日常的なものではなく「サイレント・マジョリティー」からは「ださい」「反社会的」と見られる風潮がある。大手メディアに取り上げられることは少ない」とも指摘した。  同研究員によると、宮下公園や明治神宮外苑、都営霞ヶ丘アパートなど各地で五輪の名の下に再開発や浄化、公共スペースからの締め出しが進み、ホームレスや活動家らが公の場から締め出される事態が常態化しているという。  ▽女性蔑視発言  国際交流基金マニラ日本文化センターの鈴木勉所長は、女性蔑視発言で森喜朗元首相が東京五輪大会組織委員長を辞任した問題や、五輪を「東北地方復興の象徴」とする政治的なメッセージを安倍晋三前首相が提示したことなど、五輪を取り巻く政治や社会の状況について発表。  1964年の東京五輪が現代アート展示空間としての側面を担っていたことにも触れた。  静岡大国際関係学部の高畑幸教授は、二重国籍を認めない日本で日系フィリピン人選手が抱えるジレンマの問題や、スポーツをめぐる日比の力関係などについて報告。また、第二次世界大戦前に野球の巨人軍で活躍、後に母国で抗日ゲリラとして戦死したアデアラーノ・リベラ選手をはじめ、柔道やボクシング、相撲、スケート、ゴルフなど日本で活躍してきた比人選手を紹介した。  質疑応答では「選手は政治論の板ばさみになっている」「五輪が開かれなくても、スポーツがなくなることはない」「五輪は今後、都市ではなく、国内の異なる場所か、いくつかの国に分散させる方法も専門家は視野に入れている」などの意見が出たほか、「今回の五輪は比人選手が初めて金メダルを獲得するのを見るチャンスだ」との声も聞かれた。(岡田薫)

アテネオ大主催の東京五輪に関する国際フォーラムのゲストスピーカー、ジュールズ・ボイコフ教授(右)とゾニャ・ガンセフォルト氏(下)ら=5日午前(ズームのスクリーンショット)