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1月10日のまにら新聞から

ミサ6千人 周辺に数万人 巡行中止のキアポ教会

[ 1438字|2021.1.10|社会 ]
キアポ教会とプラザミランダに集まった信者ら=10日午後1時ごろ、マニラ市のキアポ教会周辺で岡田薫撮影

 マニラ市・キアポ教会の黒いイエスキリスト像「ブラックナザレ」巡行。毎年1月9日に200万人を超す人が集まり、一目見たり、触れたりしようとしてきた。フィリピンを代表するカトリックの一大行事がコロナ禍で中止された今年も、教会周辺には数万の信者の姿があった。

 正午前に軽量高架鉄道(LRT)1号線のカリエド駅で電車を降りると、駅の真下に検問所ができていた。教会に近づくには、フェイスシールドやマスクを着用した上、数百人ごとのグループになり、検問所を3列で通る必要があった。バランガイ職員やボランティアが1人ずつ追跡用の紙を配り、手に消毒液を吹きかけていた。

 ▽スクリーンでミサ

 駅周辺はテロ警戒のため、携帯の電波も遮断されていた。大きなバッグに入れた携帯も禁止。手荷物を確認した後に検問所を通されたが、数百人のグループは100メートルほど進んだ路上のテレビスクリーンの前で、間隔をとって立ち、ミサに「参加」する状況に。

 さらに教会へと近づくと、同じような集団が幾つも連なり、各所に設置されたスクリーンの前でミサを視聴していた。同じような光景はプラザミランダやケソンブルバード沿いでも見られた。

 キアポ教会からカリエド駅までの通りには、警官や黒い軍服姿の国家警察特殊部隊隊員の姿もあり、ケソン市などからも動員されていた。

 ▽失業者の祈り

 ラスピニャス市から来た信者のアリエル・アルミナリオさん(20)は、マニラ市やケソン市の友人6人と午前9時にカリエド駅側で合流、午後6時までキリスト像を見ていくという。

 例年の巡行参加で携帯が通じないことを事前に知っていたため、待ち合わせ場所を決めていた。「路上でミサを聞いて過ごしているが、まだ会えていない仲間がいる」と笑った。

 アルミナリオさんは昨年3月、働いていた中華料理店が休業に入ったため、職を失ったままだ。「今年のブラックナザレは非常に残念だ。例年であれば、今ごろは裸足で、身体中あちこちに傷があっただろう。それでも像に触れることで、一年の幸福に恵まれてきた。今年は気持ちの高揚はない」と淡々と話した。

 ▽彼女が欲しい

 パラニャーケ市から5人の友人と比国鉄の電車に乗って来たフランシス・ドラコラさん(20)は「今年は混乱もなく、毎年恒例のけが人もいない、これまでにない形で良かったと思う。イスコ・モレノ市長の判断は正しい」と話した。

 その場にいた友人の大半は「これから像を見に列に並ぶつもりだ。家族や友人の健康と新型コロナの収束を神に願いたい」などと、信心深い言葉を口にした。ただ一人、18歳の男性は「彼女がほしい」とつぶやいた。

 ▽400人ずつ15回

 黒いキリスト像は、プラザミランダに面した教会正面の2階部分の窓の位置に据え置かれ、今年はもみくちゃにされず、遠目で確認することができただけだった。

 キアポ教会では午前4時半から1時間15分ごとに計15回のミサが、毎回異なる神父により執り行われた。教会内に入れるのは1回400人に限定され、この日、教会内で祈りを捧げることができたのは約6千人。

 近くのサンタクルス、サンセバスチャン両教会でもそれぞれ11回、6回のミサが行われ、そのつど数十人の信者が訪れた。

 マニラ市によると、午前9時半ごろにはキアポ地区で信者2万2840人が確認され、午後2時時点でも1万340人が集まっていたという。(岡田薫)

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