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1月17日のまにら新聞から

さらなる不測の事態に備えよ タール噴火で試される比社会

[ 728字|2020.1.17|社会|新聞論調 ]

 危機というのは、人間の最も良い部分と悪い部分を引き出すものだ。バタンガス州タール火山の噴火への人々の反応を見ればわかる。

 例えば、避難者に無料の食事を出す食堂、避難所を提供する神学校、被災地に給水車を送る水道会社、無料で乗客を運ぶジプニー団体などの活動が見られる。被災者への義援金を集めたり、被災地に取り残された動物を救出したりする動きも広がっている。

 一方で、欲深さや日和見主義も多くみられる。20〜30ペソのマスクを200ペソで売る者、津波発生などのフェイクニュースを拡散する者もいる。国会でも、この非常事態のさなかに、比地震火山研究所の不作為を追及する公聴会を開催しようとする議員がいる。実際は、同研究所によれば、噴火警戒レベル1が昨年の3月から発令されており、不安定さが高まっているという警告は昨年12月にも発表されていた。島内の3つの小学校は本土に移され、周辺の自治体は避難訓練も実施していたのだ。

 今回の噴火を受け、アニョ内務自治相は、マスクや食糧などの物資の寄付を国民に呼びかけた。これに応じた寛大な人々もいたが、「大統領が署名した国家予算はどうなっているのか」と、もっともな疑問を呈する人々もいた。約1638億ペソの社会福祉開発省の予算や82億ペソの大統領府予算、さらに予算に組み込まれたとみられる多額のポークバレルがありながら、なぜ政府は早々と市民からの援助を求めるのか。

 タール火山の危機的状況がいつまで、どのような規模で続くのか、現時点ではわからない。わが国はこの危機で試されている。火山災害は人々の生命や住む場所、仕事を奪いかねない。国は、より深刻な不測の事態に備えて道筋を示すべきだ。(15日・インクワイアラー)

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