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5月11日のまにら新聞から

借金に苦しむ教師 貸金業者による給与天引き

[ 748字|2018.5.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 先週、ドゥテルテ大統領は、学校の教師らに給与の値上げに努めると請け合った。この2年で、警察官と国軍兵士らに対する給与の大幅な賃上げが行われたのだから、教師も当然同じことを期待している。しかし、教師の人数の多さから、予算への影響は大きく、賃上げはそう大幅なものや迅速に実施するようなものにはならない。当面、政府は政策の微調整によって教師の支援に努めることになるだろう。それらの中には、教師が借金苦に陥らないように、政府がある程度強硬な方策を取る必要があると思われる。

 この3月、下院の休会直前に、ロデル・バトカベ議員が、我が国の教師を苦しめている債務危機についてスピーチを行った。それによれば、教師の借金は総額で3000億ペソにものぼるとのことだ。この概算額は教育省も認めている。このうち約1122億ペソは拡大商業銀行の傘下にある地方銀行や貯蓄銀行から借りられており、1770億ペソほどは貸金業者からだという。

 教師は金融の専門家でもなく、給与も少ないので借金しがちだ。教師の負債の全国的かつ爆発的増加は、2011年の覚書通達第228号に原因があると思われる。これは、教師の給与から特定の金額を天引きできる特権を持つ組織のリストに、貸金業者の参入を認めるものだったからだ。前政権下に出されたこの決定で、多くの教師は破産の危機に追い込まれている。この脅威は教師の数を大幅に減らす時限爆弾だといえよう。

 この貸金業者による教師の給与からの天引き制度は廃止されるべきだ。また、教師が借金を思いとどまることができるよう、彼らへの金融取引に関する啓蒙プログラムが計画されなければならない。教育省が強硬策を取れないというのなら、国会が立法により介入するべきだ。(8日・スター、アレックス・マグノ)

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